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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 57 おでん まつむら@熊本市(熊本県)

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こちらはグルメな友人のオススメで訪問しました。

ご主人は大阪の日本料理店・かが万と、

その系列のおでん専門店である万ん卯で修業された方。

訪問してみると、その経歴が遺憾無く活かされ、

おでんのみならず一品料理もクオリティが高いと感じました。

また、酒肴を交えたコースを組んでおり、

「おでん割烹」と言うにふさわしいと思いました。

 

お店はスッキリした空間で、清潔感に満ちております。

銅製のずんぐり、ふくよかなおでん鍋が入口近くの板場に鎮座しております。

注意深く見たところ、おでん鍋には仕切りがありません。

僕はおでんには現状そこまでの知識を持っておりませんが、

察するに、各素材から滲み出た旨味を相乗効果で活かすためでしょうか。

素材に別々の調理を施す「炊き合わせ」的なモダンなおでんも魅力がありますが、

別のアプローチでモダンなおでんを志向されているのは興味深いものです。

尚、仕切りが無いとは言っても、決して雑多に煮込むと言う訳ではなく、

事前に仕事を施したおでん種を随時調理されていくための大きな鍋だと感じました。

 

僕が頂いたのは【おでん割烹コース】4,200円。

こちらはお造り、焼きもの、揚げものに加えて、20種類弱のおでんから3種選ぶ仕様なので、

僕は悩みつつ半熟玉子、蓮根饅頭、ロールキャベツをチョイスしました。

ちなみに、アラカルトは勿論、おでんに特化した【おすすめおでんコース】3,500円、

【おまかせコース】5,900円もあります。

 

ある日のメニュー

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結論から言うと、おでんの価格としては少々高いと思われる方もいるかもしれませんが、

最後まで味わえば、価格に見合った価値があると感じられるのではないかと思います。

一概に「おでん」と言っても多様性があり、

こちらは「おでん」の枠組みの中で日本料理を表現されている事に気付きます。

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頂いた日本酒。
田酒、而今、日高見。

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里芋饅頭

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食感はサクサク、もちもち、トロリ。

香りも良い。

出汁に葛を打っており、出汁は並のおでん屋のそれではない。

個人的に、塩の使い方でご主人の腕を確信した。

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煮豚

付け合せにぬたを用いているところが良い。

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セイコガニ

11月~12月にかけての風物詩。

ズワイガニの雌で、北陸では香箱蟹とも。

身、外子、内子の三重奏がとてつもなく美味しいのは言わずもがな。

僕はこちらの鮮度に驚きました。

熊本でありながら現地に近い鮮度だったので、伺ってみたところ、

この季節はご友人が送ってくれるそう。

漁師さんのご友人でしょうか。

熊本で、まさかのサプライズ(シーズン初でした)を頂いた。

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鰆の西京焼き

鰆を西京味噌に漬けて焼くのは、皆が知る通りのオーソドックスな調理だが、

肉厚な鰆を効果的に焼き上げており、美味。

香り高い。

見たところガス火であったが、良い火入れ。

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海老芋

海老芋はトロトロに仕上げ、芳醇な甘みを楽しませてくれる。

海老芋の味の輪郭を出汁が引き立てている。

旨味と香りが海老芋の表面を覆い、甘みがリズミカルに伝わる。

媚びる事なくキレがあり、豊かな出汁である。

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つくねと大根

大根は力強い香り!

柔らか過ぎず、大根の良さを残している。

つくねはぷりぷりな食感で、鶏の香りがあって良し。

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車海老のクリームコロッケ

これは秀逸な創作おつまみ。

濃厚な風味を感じたため、恐らく海老味噌ごと混ぜている。

衣のサクサク感とクリームのとろ~り感のコントラストが最高。

IHクッキングヒーターを用いて揚げておりビックリ。

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揚げこんにゃく

もぎゅもぎゅと凝縮した食感が魅力的。

噛み締めると、蒟蒻の風味が出汁とともにじゅわっとほとばしる。

提供前に出汁に醤油を混ぜてコントロールしているのだろうか。

つくねと大根とは異なるツユの味わいで供された。

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ロールキャベツ

トマトの酸味とキャベツの香りが柔らかいため、出汁と調和している。

粗挽きの黒胡椒も良いアクセントに。

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半熟卵

トロトロの半熟加減はイメージ通りの満足度。

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蓮根餅

揚げたことによる香ばしさがグワッと広がった後、

蓮根の旨味がじんわりと伝わる。

生木クラゲも良いアクセント。

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サエズリ

追加した一品で、鯨の舌。

1,500円と非常に高価だが、大阪出身のご主人であれば、頂かない訳にはいかない。

ご主人の修業先でも出されているメニューであり、

大阪の鯨料理と言えば北新地のどおぞのさんが頭を浮かぶ。

どおぞのさんの鯨のはりはり鍋は強く記憶に残っており、

こちらでどのように供されるのか興味深かった次第。

結果としては、頼んで正解。

先ず、頂く前に箸で触れた瞬間に驚いてしまった。

サエズリ離れしたソフトな感触だ。

そして、いざ頂くと矢張り食感が素晴らしい。

そして、噛み締めるとと香りが横溢!

トロトロ、くにゅくにゅっと気持ち良い繊維質から、

鯨が活き活きと跳躍し、香りの奔流にうっとりする。

これは鯨が好きならば頼んで損は無いおでん種だ。

使用しているネギも食感、風味共に良好。

瑞々しくて美味しい。

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わらびもち

デザートも頂こうと、オーダー。

頂いてみて驚く。

ねっちり、とろ~りな食感に、

なんとココナッツミルクのフレイバーが混ざる。

とても個性的なわらびもちだった。

 

以上、コースに高価なサエズリと日本酒3合を頂き、お会計は8,050円。

コースと日本酒2合であれば、5千円台となるでしょう。

そう考えると高すぎると言う訳は無く、仕事を考えると腑に落ちるかと思います。

 

旅行者にとって、初めて伺う土地であれば、郷土的な料理を求めるのが自然。

しかし、何回か足を運んだ土地であれば、料理のジャンルとしては一般的だが、

調理方法を見るとその土地でしか頂けないお店に行くのも楽しみだと感じます。

「地元の食材」に縛っているわけではありませんが、

熊本で足を運ぶ価値のあるお店ふだと思います。

 

店名:おでん まつむら

食べるべき逸品:出汁を駆使した個性派おでん…特にサエズリはオススメ。

予算の目安:5,000円〜9,000円

最寄駅:水道町駅から750m、藤崎宮前駅から150m

TEL:096-356-6825

住所:熊本県熊本市中央区南坪井町5-18 サウスファイブセカンドビル1F

営業時間:17:30~22:30

定休日:日曜、祝日

 

ご参考になりましたら幸いです!

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