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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 184 しみづ@新橋

1年少々開けての再訪です。

この度は昔からの常連さんと共にお伺いして、

親方のお任せで頂きました。

 

前回はこちらの赤酢のシャリについて、

「酢の尖った酸味や香りは無い」と感じましたが、

今回は酢が結構しっかりめで、粒も硬めに仕上げておられました。

これぞしみづさんのシャリなのかと。

そして、シャリとタネの一体感に改めて目を瞠るとともに、

仕入の素晴らしさ、仕事のオリジナリティに感銘を覚えた次第です。

親方の仕事は、正統派の江戸前でありながら個性を志向し、

その方向性は江戸前を「前に進める」と言うよりも「深く掘り下げる」ようであると感じました。

江戸前を進化させているのは間違いないのだけど、「深化」と言う単語がピッタリです。

このラディカルな江戸前仕事こそが、地方の職人さん達を惹き付ける魅力なのではないかと思います。

地方を巡っていると、しみづさんに行きたいと言う職人さんは実に多いものです。

一介の鮨ヲタの僕としても、訪問されて全く損の無い名店だと思います。

 

まずは酒肴から。

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菜の花芥子和え

ほのかな苦味と芥子の風味が良い塩梅。

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時期的に旨味は少し弱いものの、香りがしっかり。

江戸前、勝山のもの。

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蒸し牡蠣

気仙沼産。しっとりした食感で、

噛み締めるごとに香りが満ち溢れ、嫌みは無い。

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子持ち槍烏賊

産卵期直前しか頂けない、槍烏賊の子。

古くから愛でられる印籠詰めに似た仕事を楽しめる。

大きな違いは子の食感。

職人技で火入れされた卵はモチモチ、トロトロ。

糯米のようなモチモチ感が魅力的だ。

そして、煮ツメの旨味と身のコリコリ感が合わさり、

他のタネには無い魅力を楽しませてくれる。

これは濃厚な煮ツメだからこそ楽しめる仕事で、

昨今の若手職人さんの軽い煮ツメでは表現しきれないだろう。

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〆鯖

焼津産。塩〆、酢ともにしっかりしており、クラシカル。

しかし、それと同時に脂を炸裂させる仕事。

浅く〆るのではなく、攻める〆でありながら、

鯖の魅力を引き出し切っており、圧倒的な〆の仕事を楽しませてくれた。

ベストの状態の鯖で頂けば尚更感動が大きい塩梅だろう。

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ノレソレ

サッと湯に通し、加減酢とともに。

生とは違うノレソレの魅力の引き出し方。

名古屋のあま木さんできしめんをイメージしてノレソレを使われていたが、

出汁に加えて酢を用いても魅力的である事が分かる。

軽く火が入り、繊維が柔らかく風味が変わる事で、

麺のような存在感を示すから、面白い。

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鮟肝

とろとろ、クリーミーな鮟肝。

微塵切りの奈良漬けとの相性が良く、新発見。

 

この後、握りに移行しました。

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針魚

かなりキレッキレに〆ており、面白い。

最近は脱水の加減も軽めな事が多いが、これはラディカルな仕事。

それでいて針魚らしい食感も楽しめるので、加減が良い。

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墨烏賊

アオリイカに切り替わる時期だが、墨烏賊!

これは江戸前好きとしては、嬉しい。

バツッ!バツッ!と極めて力強い食感で、

墨烏賊のパツパツ感を凌駕する雄々しさ。

旬の名残りに、最もインパクトのある墨烏賊を頂けた。

タネで季節の移ろいを感じられたのも嬉しい。

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鮪赤身

千葉・勝浦産。2月末に勝浦とは、非常に珍しい。

そして、味わいは秀逸。

酸味に加えてしっかりと旨味を含有しており、

2016年冬の下手な大間を軽く凌ぐ赤身だった。

このクラスに出会えるのは、完全に運次第。

僥倖と言うべき稀有な機会に感動を覚えた。

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鮪中トロ

こちらは島根産。部位ごとに良いモノを仕入れられるとは、

仲卸(フジタ水産)との密な信頼関係を感じさせる。

しっかりした甘みがありつつ、酸味がそれを引き締める。

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鮪大トロ

赤身と同じ勝浦産。旨味と甘みが半端なく、ビックリ。

そして、その印象が強まった理由は、

真ん中に産地違いで魚味の異なる中トロを挟んだからだろう。

鮪には漬け、熟成と言った仕事や包丁の入れ方などの楽しむべきポイントがあるが、

3部位出す場合には旨味、甘み、酸味、風味の変化を見ると面白い。

全て脂が旨味や甘みが強いと、粋じゃなくてダメだろう。

この鮪の扱い方にも、江戸前鮨職人の気概を感じた。

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小鰭

超しっかりとした〆なのに、旨味と香りが奥からグイグイと到達。

正にすぎたさんの小鰭と真逆の仕事であり、小鰭の奥深さを楽しませてくれる。

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肉厚な蛤をしっとりと仕上げ、強く漬け込んでいるところが特徴。

攻めの漬け込みと言える仕事だが、歯切れが良い。

煮ものについてもサッパリ味が多いので、これはインパクトがある。

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赤貝

閖上産。震災後に「復興の赤貝」と言われるほどまでに回復した赤貝だが、

取りすぎて2016~2017年は厳しくなっている。

サステイナビリティは考慮して欲しいもの(生産者よりも消費者が)。

今回頂いた赤貝は状態が上々で、

噛みしめた瞬間の歯切れと旨味の量が「閖上産」と呼ぶに相応しいもの。

旨味と香りの強さ、粒子のきめ細かさは他の産地を矢張り上回る。

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春子

サイズの大きな春子で驚く。

昆布で〆ており、グルタミン酸の付加と香りの付加が結構強い。

春子もサッパリ味の仕事が多く、その上にオボロを噛ませる事が多いが、

本来は比較的強い〆の方が春子らしい味わいを楽しめると思うが如何か。

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青柳

徹底的な甘みに驚嘆!!

青柳で感じた事の無い甘みの強さで、余韻に笑ってしまった。

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小柱軍艦

貝柱もまた甘みが強く、歯切れ良好。

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車海老

味噌の部分の火入れが良く、あたかもソースの如くトロリと絡まる。

絶妙な甘み。

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海胆

口に入れるや否や消え去り、驚く。

大間産との事だが、半端無い口溶け。

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穴子

対馬産らしい脂の強さで、トロロンと柔らか。

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玉子

飾り包丁を入れて、鞍掛に!

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干瓢巻き

干瓢の仕事はクラシカルで、甘く、柔らかい。

そこに山葵を強く利かせ、シャリのパンチある酸味を掛ける。

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オボロ巻き

強い酸味のシャリに合わせると、海老の香りと甘みが引き立つ。

優しい味わいのシャリだと、こうは行かない。

 

個性的な仕事に、再訪するのが楽しみになります。

 

店名:新橋しみづ

シャリの特徴:赤酢を強く利かせつつタネとのバランスが良いシャリ。温度、硬さは安定。

予算の目安:10,000円~15,000円、お任せは17,000円〜くらい

最寄駅:新橋駅から200m

TEL:03-6264-5855

住所:東京都港区新橋2-15-10

営業時間:昼11:30~13:00、夜17:00~21:30

定休日:月曜

 

ご参考になりましたら幸いです!

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