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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 117 すし処ととや@東銀座【2016年11月に閉店】

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こちらは東銀座で一際風情ある佇まいの、小体な鮨店です。

外観だけでなく店内も昭和初期の鮨店のように渋く落ち着く雰囲気で、

一人カウンターに座り、冷酒を片手に握りを食うのが粋なお店。

 

再訪レビューもあります。

 

ご主人が繰り出される鮨も雰囲気に違わず、いぶし銀と言った感。

シャリは小さく、ほのかな甘みがあるため、

所謂「女鮨」に分類されるのかもしれませんが、

口に入れた時の存在感は非常に大きいです。

米粒がパラッと鮮やかにほどけ、二三粒残るという理想的な散り方。

硬さ、温度は申し分なく、塩は強すぎず、赤酢の塩梅も良いです。

赤酢特有のクセを抑えつつ、小ぶりながらにキレのあるシャリに仕上げておられます。


また、握りは16貫頂きましたが、シャリの状態は終始安定しておりました。

シャリと仕事の一体感も強く、ブレの無さもまたこちらの魅力かと思います。

そして、仕事に関しても正統江戸前でありながら個性を具備しており目を瞠ります。

【柚子胡椒を挟んだサヨリ】は若干好き嫌いが分かれるかもしれませんが、

【長期熟成を掛け、出汁煮キリに3日間漬けた鮪】や、

【半々で食感が異なる、とろけるような玉子】は、

誰しもが圧倒的な美味を体感出来る仕事なのではないかと感じます。

また、仕入れに対しては、ご主人は明確な基準を持っておられ、

ブランドに依らずご自身が本当に旨いと思ったもの、仕事と合うものを選んでおられる印象です。

例えば、訪問した日は、大間の鮪は目に適わなかったのでカナダ産を入れたとの事でしたが、

仕事によって香りや旨味を引き出しておられました。

鮨店で「タネのクオリティ」や「雰囲気」を気にされる方には響かないかと思いますが、

「仕事」と「渋いお店」が好きな人には通好みの楽しみを与えてくれます。

 

鮨通の大先輩からお薦め頂き訪問しましたが、間違いの無い一軒でした。

 

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いくら

 

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ガリ

赤酢特有の旨味が強い。

 

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真鯛

酢橘を用いつつ嫌味にならず、香りと旨味が凝縮されていながら歯応えもある。

確かな熟成の見極めを感じました。

 

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墨烏賊

肉厚で歯切れが良く、シャリと合っている。

淡白な墨烏賊がどれ程シャリに合うかは、実力を分けるポイントかと思います。

 

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小鰭

派手な包丁だが、自身が頂いた中で十指に入る小鰭。

〆加減が良く、ふんわりとした食感ながらに、小鰭特有の嫌味を消して、

旨味と香りを封じ込めている。

塩加減がやや強めだが、深い余韻でカバーする。

 

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針魚(サヨリ)

柚子胡椒を挟む。

単に柚子胡椒を使うのでは全くもって無芸だが、〆の仕事と合わせている。

針魚の歯応え、香りの後に柚子胡椒の辛味が来る。

 

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〆加減が良く、程よい脂がねっとりと舌に絡む。

 

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海松貝(ミルガイ)

食感がしっかりしており、包丁はほぼ入れていないため、

噛めば噛むほど甘みが滲み出てくる。

 

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青柳

嫌味は皆無で、甘みが強く、ほのかな苦味が爽やか。

青柳の質が高いと目利きのスキルを感じます。

 

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赤貝

グルタミン酸が強く、旨味の粒子が細かいので、産地を伺ったところ閖上。

包丁の入れ方も良い。

 

この後、鮪が四連発

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赤身、中トロ、漬け、大トロと、面白い流れ。

前述の通りカナダ産であるが、熟成の妙を感じさせる。

香りが引き立てられており、鉄の余韻もある。

大トロは蛇腹だが、海外モノにありがちな「こてこて」な脂ではなく、

程良く濃厚で、とろけ具合も上品。

何よりも素晴らしいのが、漬け。
鮪の香りが凝縮されており、半生の食感が極めて甘美。

恍惚な味わいと言える。

漬けの煮キリには少量の出汁が使用されている。

 

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海胆

かすかな明礬の収斂味を感じたが、旨く、とろける。

 

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海老

オボロがたっぷりと使用されており、強めの火入れながらに楽しませてくれる。

海老は甘酢にくぐらせているのでしょうか。

 

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穴子

笹の葉の上でじっくり火を入れた後に煮られているのでしょうか。

煮ツメは濃厚な味わいで旨い。

 

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玉子

余熱で火を通したのか、半分半分で異なる食感。

とろけるようなクリーミィな玉子で、白眉。

 

以上、先付(いくら)と16貫、玉子を頂き、ビール小瓶と日本酒1合を頂き、18,000円程。

内容と立地を考慮すると非常に良心的なお店だと感じました。

一見職人気質と思われたご主人は、実は話題の幅が広く、じっくり話すと面白い方。

渋い雰囲気とストイシズムは好みを分けるかもしれませんが、僕は好きです。

何よりも、鮨の根幹はシャリであり、仕事とシャリとの一体感、

という信念に基づき食べ歩きをしている身としては、記憶に残るお店でした。

必ず再訪したいと思います。

 

店名:すし処ととや

シャリの特徴:赤酢の使い方に長けた、小ぶりながらに存在感のあるシャリ。

予算の目安:15,000円~20,000円

最寄駅:東銀座駅から200m

TEL:03-3543-3324

住所:東京都中央区銀座3-11-7

営業時間:[火~金]12:00~13:30(事前に要確認)、17:30~23:00、[土・日・祝]17:30~21:30

定休日:月曜

 

ご参考になりましたら幸いです!

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