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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 71 六寛@築地

東銀座で電話番号非公開、紹介制のスタイルを取る井雪さん(京味出身)。

井雪さんがプロデュースするスッポン料理店が、こちら六寛さんとなります。

お誘い頂いたのでリサーチを行ったところ、こちらも電話番号非公開で紹介制故か、

web上に情報が少なく、料理の姿をイメージし辛い。

幹事さんより、使用しているスッポンの出所は服部中村養鼈場と伺い、

あちらのスッポンであれば問題無いだろうと訪問を決めました。

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お店は勝鬨橋にほど近い築地の一角にあり、看板を出していないので、

知らなければ素通りしてしまうであろう外観です。

水炊き料亭であるつきじ治作さんの比較的近くとなります。

お店の内装は殊のほかカジュアルで、イス、カウンター共に一般的なもの。

器の選択も少々弱く、特に塗りものはお店の価格帯的に

もっと良いものを使った方が良いのでは?と感じました(笑)

 

ただ、料理については満足度が高く、創作的な料理を織り交ぜつつ、

新たなスッポンの魅力を提示する事に成功している印象です。

スッポン以外の料理も技術が光り、流石井雪さん直伝だと感じました。

スッポンの新たな魅力と日本料理を組み合わせた斬新なスタイルの日本料理です。


ちなみに、こちらが用いるスッポンは900gほどのサイズとの事。

一般的に使用されるサイズは1kg〜2kgと言う印象なので、

やや小ぶりなものを使用されているようです。

尚、天然物は大きいものだと3kg〜5kgにも及び、

逆に中国では約600gほどの小さなサイズが珍重されている模様。

 

価格については、天領・純米大吟醸を1本(180ml=1合)頂き、3.1万円弱。

京味の系譜×スッポンなので腹をくくって伺い、ほぼ予想の上限くらいの金額でした。

同じく服部中村養鼈場のスッポンを用い、

元禄年間(1688年〜1704年)創業である京都の大市が24,000円(税サ込)なので、

絶対額では上を行きます(勿論、コース構成が全く異なるので、一概に比較は出来ませんが)。

一般的なスッポン料理店の2倍ほどの価格となりますので、

こちらの「独創性」と「ネームバリュー」をどのように捉えるかで評価が分かれるところかと思います。

 

頂いた料理
・スッポンのレバーペースト
・スッポンの茶碗蒸し
・スッポンの卵醤油付けと肝の時雨煮
・お造り:真鯛と水蛸
・穴子の山椒煮を用いた飯蒸し
・スッポンの春巻
・スッポンの唐揚げ
・焼き胡麻豆腐
・蕗の薹、菜の花、筍、槍烏賊の天麩羅
・蕎麦
・唐墨餅
スッポン鍋
・口直し:シロナのお浸し
・お食事:スッポンの雑炊、お稲荷さんと太巻き、半熟鶉卵、スッポンの時雨煮、香の物
・水菓子:黒豆入りわらび餅、葛切り

 

スッポンレバーペースト

チーズ風味のトルティーヤチップスに乗せ、キャヴィアをあしらった品。

 

スッポンの茶碗蒸し

スッポン出汁が掛けられており、出汁と卵の甘みで食させる料理かと思いきや、

スッポンのほぐし身が現れ、サプライズが有る。

ゼラチン質とほぐし身は旨味を高め、食欲を喚起する。

 

スッポンの卵醤油付けと肝の時雨煮

卵はプチン!と気持ち良く弾け、凝縮された旨味がねっとりと舌を這う。

肝の時雨には肝(レバー)の風味を中心に宿し、外側はこっくりと食べさせる調理。

 

お造り:真鯛と水蛸

器は織部角違い向付。鯛はプリプリとした好みの食感で、香りがある。

産地は明石との事だが、少々弱い。

水蛸は包丁の入れ方が面白く、花弁或いは海月のよう。

よって、しっとりとほどける食感で、

コリコリした食感のある水蛸の仕事としては興味深い。

付け合せの塩は、イギリス産との事で、食感、風味から推察するにマルドン。

 

穴子の山椒煮を用いた飯蒸し

スッポンばかりでは疲れるので、

お造りの後にこう言った郷土色の強い小品を挟むのは粋だ。

餅米にはミツバの茎と柴漬けの微塵切りが混ぜられており、アクセントに。

穴子の山椒煮は佃煮的で、佃島が近いので何だか嬉しい。

米の甘みと香りが強く、印象的だった。

 

スッポンの春巻

もっちりした皮で面白いなと伺ったところ、「普通の皮です」との応え(笑)

薄いものを二三重に巻きつつ一体感を高めモチッとさせている。

叩いたスッポンの餡も十分存在感を発揮。

付け合せ調味料は八丁味噌に葱を混ぜたもの。

付けなくても美味しいので、調味料は酒肴として頂いた。

 

スッポンの唐揚げ

獅子唐と共に。部位はエンペラと足の周りの肉。

炊いてから揚げているため、エンペラは皮目をトロットロに楽しめ、肉はホロホロ。

 

焼き胡麻豆腐

田楽味噌と共に。胡麻豆腐のとろける食感が堪らない。

金胡麻の風味も良い。

 

蕗の薹、菜の花、筍、槍烏賊の天麩羅

薄切りの筍は走りの軽やかな苦味に加えて甘みもあり、嬉しい。

菜の花は爽やかな苦味で、口溶けが良かった。

槍烏賊は大葉と共に。

 

蕎麦

小さな鍋で茹でているのが心配であったが、中々の満足度。

切りムラがあり長短揃わない点はネックだが、コースのアクセントとしては良い。

薄く平たいため、爽快感が有る。

ツユは醤油を極めて強く利かせており、鰹節も強い。

 

唐墨餅

贅沢に用いた唐墨と、薄くしっかりした風味の餅が相性抜群。

唐墨と米で食欲に火を付けてくれる。

 

スッポン鍋

○鍋を高温で熱し、出汁を入れ、調理。正統的な調理法。

鍋は滋賀県産(つまり信楽焼)かと聞いたところ、京焼との事であった。

(京都では信楽焼を用いる事が多い)

また、高温で調理するメリットは、古くはスッポンの臭いを消す事、

ゼラチン質を多く含有するため瞬間的に旨味を封印するためとされている。

スッポン以外に京麩、長葱があしらわれ、生姜の絞り汁は最後に少々。

生姜も古くは臭み消しに用いられたが、天然物に比べて養殖物は臭みが少ないため、

生姜は香り付け、即ち調味料として用いるべきだと考えるので、これは良い。

味付けが実にバッチリ決まっており、秀逸なスッポン鍋であった。

皆、無言になって頂いた(笑)

 

口直し:シロナのお浸し

スッキリした出汁を利かせており、気の利いた口直し。

シロナとお揚げで京都らしい。

 

お食事:スッポンの雑炊、お稲荷さんと太巻き、半熟鶉卵、スッポンの時雨煮、香の物

時雨には山椒と生姜を用い甘みが強く、香の物は大根の古漬け、昆布、蕪。

太巻きは玉子、椎茸を炊いたん、三ツ葉とシンプル。

スッポン雑炊はお替わり必至!

水菓子:黒豆入りわらび餅、葛切り

本来は選択制だが、満場一致で両方と言うことになった(笑)

京味の系譜を継承する確かなる味わいの水菓子だ。

敢えて言うならば葛切りの幅にムラがあり、口当たりを少々損なっていた。

しかし、満足度が高い即興スイーツである事には変わりない。

 

スッポンの可能性を感じさせて頂き、勉強になりました!

 

店名:六寛(ろっかん)

食べるべき逸品:王道のまる鍋と創作的なスッポン料理のコース。

予算の目安:29,000円〜

最寄駅:築地駅から350m

TEL:非公開

住所:東京都中央区築地6-6-6

※完全紹介制のお店となります

 

ご参考になりましたら幸いです!

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