すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 21 大徳寺一久@紫野(京都府)

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こちらは文明年間(1469年〜1486年)より大徳寺派の精進料理を受け継ぐ老舗です。

大徳寺の和尚さんより「辛甘鹹酸苦の五味」の秘法を伝授され、

店名はかの一休宗純禅師(いわゆる一休さん)によって命名されたという、

精進料理を語る上で外すことの出来ないお店です。

現在は大徳寺のみならず茶道の三千家と藪之内家の御用も賜っておられるそう。

また、有名な「大徳寺納豆」もこちらが元祖とされており、

中国の豆豉を思わせる味わいは京都にあって異国の香りを感じる調味料の一つ。

僕は1654年に伝来された黄檗宗の黄檗普茶料理はかつて頂いたことがありますが、

より古い精進料理を求めてこちらに伺いました。

大徳寺精進料理とは、季節の野菜に加えて、豆腐、湯葉、生麩を用い、

前述の「辛甘鹹酸苦の五味」を以って、限られた食材の中で百味具足すべし、

と教えられてきたそうで、様々な味覚を生み出すため、調理技術の発達に奏功しました。

茶懐石と同様に精進料理は日本料理を考える上で避けては通れない道だと思いますし、

個人的には、日本における中国料理を考える上でも示唆を含んでいるように感じます。

 

お店は北大路通から直ぐの場所にあり、当然の事ながら大徳寺の至近です。

大徳寺自体、真面目に観ると数時間掛かる史跡に富む複合宗教施設なので、

是非ともこちらのお店での食事と合わせて訪問されると趣が増すかと思います。

 

再訪レビューもあります。

 

大徳寺三門

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大徳寺大方丈

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こちらの前庭と唐門は必見です!

秀吉の聚楽第に思いを馳せ、しばし時を忘れます。

 

お店の外観

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一人でも個室に案内頂けるので、ゆったりと食事できます。

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なお、正式な形式である【大徳寺精進料理本膳】を頂きたかったのですが、

こちらは二人以上からのご提供とのことでしたので、

【大徳寺精進料理縁高盛】…いわゆる「お弁当」を予約して訪問しました。

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お弁当に椀と菓子、抹茶が付きます。

 

大徳寺精進料理縁高盛

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コンパクトに纏められており、大得意精進料理のエッセンスを体感出来る。

 

菜の花の芥子和え

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和芥子のみならず胡麻を加え、コクと風味を高めている点に成程と首肯。

そして、かすかに酢を混じえているところも見逃せない。

抑制の利いた味覚のバランスにおいて、菜の花を菜の花以上に仕上げている点に、

日本料理(の源流)の魅力を感じる。

 

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最も着目すべき料理は大徳寺麩と湯葉。

湯葉は京都らしい薄いもののが極めて多重に構築されている。

噛みしめる食感の妙、即ちリズムを楽しませてくれる料理で、

素朴極まりない中に試行を感じさせられる。

大徳寺麩は、しっかりと味付けがされており、醤油と砂糖で甘くこってり。

あたかも肉の煮付けを食べているような満足感を味わわせる。

肉食が一般的でなかった当時においては、桁外れのパンチだった事かと想像。

なお、何処かで頂いたことのある食感と味付けだなとおもいきや、

これは烤麩を用いた上海料理に酷似している。

後日、食べ歩きの先輩のヒントも参考に導き出したのだが、

まさしく大徳寺納豆とともに中国から伝えられた素材と調理法が現存している事に驚く。

 

他、料理について感じた雑感は下記の通り(箇条書きで申し訳ありません)。

豆腐、そこそこに塩気を利かしているのは他料理とのバランス故か。

更にはケシの実がアクセント。

堀川牛蒡は火入れが強く、しっとりと柔らかくホロホロに仕上げ。

原了郭の黒七味が欲しくなる。

牛蒡の揚げものは衣がもっちりしており、面白い。

米粉だろうか。

限られた中で食のバリエーションを広げる努力を感じさせられ、

このような点に精進料理の魅力がある。

香茸は(頻繁に頂いてきた)自分にとっては意外性の有る味付けで、甘め。

大徳寺麩と同じ味付けか。

そして、香の物はパンチの有るタッグ。

大根の古漬け、奈良漬けと、塩分と香りがバッチリある連中。

 

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出汁は淡く、素材の甘みと木ノ芽の香りに焦点を当てる。

豆腐は、こも豆腐を使用しており、高温で茹で上げ敢えて「す」を立たせ、

内部に気泡を生み出した豆腐の「食感」が椀に広がりを与える。

素朴だが、マニアック。


菓子と抹茶、大徳寺納豆

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干し柿に柚子を使用した干菓子。

頂いた後に大徳寺納豆を噛みしめて、〆る。

大徳寺納豆は中国の豆豉よりも酸味があり、塩気が低いため、

甘いものの後にピリオドを打ってくれる。

 

精進料理は日本料理好きにはたまらない魅力があります!

 

店名:大徳寺一久

食べるべき逸品:大徳寺精進料理

予算の目安:縁高盛4,160円、本膳8,320円、11,850円、14,260円 (全て税サ込)

最寄駅:北大路駅から1,090m

TEL:075-493-0019

住所:京都市北区紫野大徳寺下門前町20

営業時間:12:00~18:00

定休日:不定休(大徳寺の行事日程にあわせて休業とのことです)

 

ご参考になりましたら幸いです!

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