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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 75 徳山鮓@余呉(滋賀県)

熟鮓 店鋪情報 滋賀県 郷土料理

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妙味必淡…店内に掲げられた言葉には、

箸を進めることによって頷くこととなります。

 

こちらのお店は滋賀県の外れにあり、

予想以上に奥まった場所にあります。

余呉湖を回りこんで到着した先には、

重厚ながらに穏やかな雰囲気も併せ持つ建物が待っており、

プロの料理人や発酵の研究家も足を運ぶことがある種、意外に感じさせられます。

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お店の内装も穏やかで、堅苦しいところは微塵もなく、

余呉湖を望む窓からは、心を安らかにする陽光が燦々と射しこんでおります。

ベランダに出ても構わないとのことで、食事の前に湖を眺めて開放感に浸ります。

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自然の香りで胃を満たした後は、自然の恵で胃を満たしてもらうことに…

 

まず最初に出てきた料理は【鹿肉の胡麻和え】。

あまりにも食欲をそそる見た目と香りだったので、

写真を撮るのを失念してしまいました。

一口頂いてみると、鹿肉の処理の仕方と胡麻の使い方が非常に良く、

繊細かつ地味に溢れた味わい。

噛みしめると力強い香りが漂い、繊維は柔らか。

 

次いで頂いたのは【鰻のおとし】。

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ぷりぷりとした歯ごたえが良く、

嚥下した後にたなびく香りが野趣に富んでおります。

骨切りの技術もあり、繊細な中に意外性のある一皿。

 

そして、次は待ってましたとばかりの、【鯖のナレズシ】。

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なんとナレズシに、吉田牧場のチーズをグレーターでおろし、

トマトのソースを合わせております。

鯖の発酵は穏やかで、チーズに近しい酸味が協奏し、

トマトソースには甘みがあり、バランスに長けている。

 

三皿で心をつかまれましたが、お次は【稚鮎の酢の物】。

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ほろっとほどけるあどけない食感に、香りがほんのり残り、印象深い。

エゴマとワラビをあしらっており、湖と森の産物に心が踊る。

 

そして、さっぱりな料理が続いたところで、【余呉湖の鰻の焼き物】。

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ご主人の徳山氏が釣られた鰻は、体こそ小さいものの、

一匹まるまる使用されており、

噛みしめると喜びに満たされます。

地ものの実山椒は香り、痺れに富んでおり、

少量ながらに名脇役を演じております。

 

そして、【ホンモロコと発酵米のソース】。

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名残のホンモロコも嬉しいですが、発酵米のソースが極めて印象的。

香りに富み、「旨味を持ったマヨネーズ」のようです。

付け合せはアザミ。

 

次は、【山菜の天麩羅】。

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ネマガリタケ、シオデ、イワタバコ、ヤマブドウと、あまり聞かない山菜を使用。

全て味わい、食感、香りが異なり、非常に面白い天麩羅です。

シオデは微かな粘度が美味く、

ヤマブドウは最もジューシーで心地よい苦味(ウドより低い)が気に入りました。

 

そして、食事の前に【発酵カラスミと鮒鮓】。

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ハチミツと合わせた鮒鮓は「和のチーズ」と呼ばれる所以を心から実感。

ハチミツの甘みとピッタリ合っており、鋭い酸味が心地良いです。

鮒鮓の熟成は浅めで、一般的なものよりも爽やか。

よって、もう一品はパンに挟んでオリーブオイルと焼いておりましたが、

全く凡庸な創作感がなく、一体化しておりました。

 

〆のご飯は、名前からして魅力的な、【琵琶湖のスッポンと名残のクマの雑炊】。

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クマ肉はクセが無く、固有の香りを楽しむことが出来ます。

スッポンはたっぷりと出汁が取られており、

米は濃密なゼラチン質を纏っております。

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生姜の使い方も良く、前面に出過ぎずバランスを取っておりました。

ボリュームもたっぷりで、極めて満足度の高い〆。

これもまた、湖と森の産物への感謝を想起させます。

 

こちらは水菓子も個性的で、【ナレズシの飯を使ったアイス】。

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アイスは少しシャーベット状の食感で、

クリームチーズのような味わいでありながら、余韻はナレズシ。

不思議な味わいですが、大変美味です。

かなり変化球かもしれませんが、

こちらのコースの最後を締めくくるにふさわしい一品です。

ワイルドミントとヤマブドウも香り豊かで爽やか。

 

全体的に、滋賀、ひいては余呉ならではの食材を、

センス溢れる調理で芸術レヴェルまで高めており、

非の打ち所のない名店だと実感しました。

個々の料理の美味しさもさることながら、

根底に流れる徳山氏の哲学が素晴らしいです。

料理を口にして哲学を感じることは稀有。

伝統的なナレズシ・発酵料理を新たな領域で再構築されており、

余呉の豊かな食材ともども、深く心に残った次第です。

確実に、何度も訪問したいと感じました。

 

再訪記事

 

店名:徳山鮓

予算の目安:10,000円~

最寄り駅:余呉駅から1,110m、車がベター

TEL: 0749-86-4045
住所: 滋賀県長浜市余呉町川並1408
営業時間:12:00~14:30、18:00~21:00

定休日:不定休

 

ご参考になりましたら幸いです!

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