すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

すべての鮨好きに送るブログ。日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介!

すしログ日本料理編 No. 120 徳山鮓@余呉(滋賀県)

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最後の訪問からゆうに2年近く空いてしまった徳山鮓。

大好きなお店ながらに2名以上でなければ予約を取れなくなった事、

テレビ「情熱大陸」に出演されてから人気が沸騰した事が要因です。

全国を食べ歩いていると、こちらに伺いたいと言う料理人の方に多くお会いします。

しかも、日本料理のみならずフランス料理などでも…!

それは、圧倒的な個性と美麗な盛り付けである点に加えて、

世界的に注目を集めている「発酵」に精通されている点が要因でしょう。

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滋賀の伝統的な発酵料理を「保存性」の枠組みから解放し、

独創的なアレンジを加えられた点こそ、徳山さんの最大の功績だと思います。

郷土料理は伝統として保存すべき料理もありますが、

全体としてみると伝統のみに固執していると、必ずや滅びます。

よって、伝統の良い部分を残しつつ現代的にアレンジする事は、

郷土料理の保存の上で必要だと感じている次第。

よって、この度徳山さんの料理を頂き、

インスパイアされる料理人が増えると、

今後の日本料理が楽しくなると思いました。

軽薄な高級食材の足し算とは異次元な、

確固たる個性がこちらにはあると再認識しました。

そして、名声を勝ち得ても進化を止めない点、

価格を上げてお客に転嫁していない点は今日び素晴らしいと感じた次第です。

 

今回、初めてこちらでお酒を頂きました(いつも一人でドライブだったので)。

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七本鎗・特別純米精米80パーセント。

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酒器は桜。

ラベルが余呉湖の天女でハッとする。

余呉湖には天女伝説があり、湖畔に実在する柳の木に、

羽衣をかけて水浴びしたと言う謂れがあります。

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しかし、隆々と立っていた柳の巨木は現在倒れております。

台風11号(2017年8月6日)によってなぎ倒されてしまったとの事…

湖畔で倒れているのを見かけ、お店で聞いて知りましたが、

前々から見ていて、徳山鮓に伺う際のアイコン的なイメージでしたので、

地元在住でなくても悲しい気持ちになってしまいました。

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(かつての風景)

ただ、自然には勝てないのが人間。

せめて倒木を再利用して祠などが作られれば良いと感じております。

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この度頂いた料理です。

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余呉の鰻の飯蒸し

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配された瞬間にしっかりした生姜の香りが漂う。

頂いてみると葛も強めに打たれており、一瞬野暮ッたく感じつつも、

鰻の野趣が米の甘みを包み込み、実際は良いバランス。

出汁を主張し過ぎない程度に強めている点、

実山椒を多めに使用している点も奏功している。

もち米は土鍋炊きか…お焦げが実に香ばしい。

食欲を喚起してくれる先付である。

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鹿肉のロースト

乾燥香茸のフレークを添えて。

鹿肉は爽やかな鉄の風味に旨味もあり。

かなりのレアで瑞々しい。

使用する山葵は甘く香りもあり、鹿の味わいに合致している。

唯一、パプリカが切り置きなのか乾いていた点が残念。

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鯖のナレズシ

過去と異なるフォルムで意表を突かれ、頂いてみると味の進化に嘆息。

左がトマトのソース、右がトマトとナレズシの飯(イイ)のソース。

あしらいは乾燥実山椒。

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鯖のナレズシは完成度が際立っており、

ハッキリ言って、やたら旨い。

発酵の香りと酸味は柔らかで、旨味の増幅に成功している。

左のソースはトマト由来の甘みがあり、酸味は非常に穏やか。

右のソースは秀逸!

乳製品的なテイストのソースで、飯に魚の香りが転移していない点が圧感。

通常、飯には発酵の過程で特有の魚の香りが付着するもの。

ナレズシの作成過程に工夫がある事は明白である。

以前よりも鯖が活き、ソースが活きる調理だと感じた。

このあたりには、お子さんの若い感性も活きている。

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子持ち鮎、香茸の餡

独創的な理系的盛り付け…実に標本的(笑)

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鮎は蒸されており、骨までホロホロ。

旬の名残らしい鮎の卵の存在感を強く提示する調理。

鮎の香りや旨味よりも卵。

季節を捉えた料理であろう。

香茸の餡は前述のフレークよりも香りがしっかりで嬉しい。

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シャルキュトリ盛り合わせ

真ん中が猪のハム、香茸、猪の生ハム、猪鹿熊のテリーヌ、琵琶鱒の松風風、

上が山葵漬け、蒸し卵、ワインビネガーソース。

とりわけ印象深かったのが、猪のハム&生ハムと、琵琶鱒の松風風。

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猪のハムは瑞々しい点が猪のイメージを覆す。

燻蒸香が強くとも障らない。

猪の生ハムは脂が大変旨く、舌の上でとろけ、猪の香りも楽しませてくれる。

琵琶鱒の松風風は鶏肉で作る事が多い松風焼きをアレンジした滋賀らしい一品。

ケシの実の代わりに胡麻を用いつつ、琵琶鱒の淡麗な香りを活かす使用量。

風味はあくまでも琵琶鱒であり、モダンな味わいを感じさせる。

和製テリーヌと言うべき料理を、ハムやテリーヌと共に供すセンスも好ましい。

木製の優しい風味の器は、富山の下尾和彦さん・下尾さおりさんの作品。

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熊鍋

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先ず、ツユに驚嘆する。

非常に端正な出汁で、熊の野趣がストレートに活きる味わい。

脂を引き締め、脂の甘みを殺さない。

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熊から脂が滲み出て、ツユが「育った」ところで頂くネギも格別。

シャキシャキと瑞々しい歯応えに、旨味が複雑に絡む。

熊肉の肉質的には、同じ熊鍋を供する比良山荘が上を行くが、

徳山さんの鍋は「日本料理の鍋」として完成度が高く、

冬の滋賀で伺う価値がある事は言うまでも無い。

コース料金を考えても、食べ応えが抜群である。

ハッキリ言って、超良心的。

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鮒鮓

余呉の蜂蜜がけ、パンに挟みオリーブオイル焼き。

過去に伺って以来、多くのお店で鮒鮓を頂いたが、

矢張りこちらのものは洗練されている。

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超しっとりしており、卵がホロッとほろける。

酸味は強いものの鮒鮓特有の「癖」は無く、

スッキリとストレートに走る酸味だ。

飯も酸味が利いておりビリッとする。

そこに、蜂蜜の甘みと風味が華を添える。

酸味、甘み、香りのバランスの上で、

何処となく葡萄的な印象を与えてくれる。

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熊鍋の雑炊

自分たちで作るのではなく、厨房で調理の後に供される。

よって、卵の火入れにプロの技が光り、

米粒はふわふわな卵を纏い、甘美な美味しさ。

ツユとご飯のバランスも良い(ツユが多め)。

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そして、粒の一つ一つが脂の旨味と熊の香りを吸収している。

旬以外の時期にこちらの雑炊を頂いた事があるが、

流石に旬の時期は別物と言える美味しさである。

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香の物、鮴の稚魚

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水菓子

飯(いい)のアイスクリーム、喜界島の黒糖サブレ。

今回は鮒鮓の発酵感が結構強く、よりマニアックに。

 

店名:徳山鮓

予算の目安:10,000円~

最寄り駅:余呉駅から1,110m、車がベター

TEL: 0749-86-4045
住所: 滋賀県長浜市余呉町川並1408
営業時間:12:00~14:30、18:00~21:00

定休日:不定休 

※完全予約制です

 

ご参考になりましたら幸いです!

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