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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 27 星野@新橋

日本料理編 日本料理 店鋪情報 新橋 東京都

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京味出身の料理人の中でも、すこぶる評判の良い星野さん。

しかし、予約のハードルが余りにも高いため、半ば諦めておりました。

そのようなところ、この度大変嬉しきお誘いを頂き、遂に訪問する事が出来ました。

感慨無量です。

 

お店は新橋の駅から少し歩いた場所にあり、外観からは高級感を発しておらず、

内装に関しても同じようなところです。

しかし、聞くところによると雰囲気よりも食材にお金を掛けているとの事で、

個人的にはそちらの方が圧倒的にありがたいです。

自分にとっては、雰囲気は味の二の次です。

 

料理を頂いた感想としては、ひとえに驚嘆に値する味わい。

一品一品の完成度、全体の構成力ともに群を抜いており、

ご本人の努力以上に類まれなる才能、センスを感じさせます。

日本料理はただ高級食材を使えば良いというものではなく、

むしろ、高級食材に依拠する事で全体の構成に乱れが生じるリスクも有るように思う。

 

そして、僕は「強い味」よりも「淡い味」を好むので、

星野さんの料理は琴線に触れました。

勿論、食材を「強い味」よりも「淡い味」に落とし込んで独自性を出す方が、

遥かに難しい事は言うまでもありません。

ご主人・星野氏は修業先の京味、西健一郎氏の味だけでなく、

ご自身が食べ歩かれて覚えた味を組み合わせて、

独自の味わいを構築されているように感じます。

 

頂いた料理は下記の通りです。

 

鯛鮨

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鯛は昆布で〆ており、昆布の香りを強く残さず、旨味を付加している。

食感は凝縮されており、

「鮨職人」の仕事ではなく「料理人」の仕事だなと感じさせる。

酢飯は硬めで酢をそれなりに利かせている。

桜の葉の香りはほどほどにしており、嫌味でない。

穏やかな幕開けでしたが、春の到来を感じさせてくれる上品な先付となる。

なお、桜の葉をめくり、鮨が現れた瞬間、「鮨!」とつぶやき、

ついつい写真をもう一枚撮ってしまいました(笑)

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淡路の鯛の潮汁。

お頭を用い、水、昆布、塩だけで調理されたと言うだけあり、

実直且つ清廉な旨味を楽しませてくれる。

塩加減が良い。

鯛の鰭の肉を少し使用されており、みっちりとした身を噛みしめると強い旨味が滲む。

鯛のイノシン酸、昆布のグルタミン酸、塩気のバランスに特筆すべきところがあるが、

薬味の白髪葱がやや強過ぎるように感じた点はいささかマイナス(個人的な好みです)。

 

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焼きもの

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京都の物集女産の筍。

最上級の筍を一時間転がしながら、じっくりと焼き上げたもの。

惜しげもなく大胆にカットされた雄々しい筍を、ひとたびガブッと噛み締めれば、

竹林に吹く一陣の風が土の香りを纏いながら鼻孔をくすぐる。

そして直ぐ様、柔らかな酸味と芳醇な甘みが横溢する。

繊維はシャクッと心地良く弾け、圧倒的に瑞々しい。

かなり上質な味わいだったので伺ったところ、

朝採りではなく1日タイムラグがあるそうだ。

しかし、むしろ素材の持つ力を引き出す火入れにただただ感服した。

 

うすい豆の翡翠煮

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紀州産のうすい豆。

ツユに甘みがあり、それでいて、鰹出汁を利かせているところが面白い。

ただ、個人的には紀州うすいには甘みを付加しない方が風味を楽しめるように感じる。

 

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雲丹と鯛の出汁ジュレ

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雲丹は本鮪で有名な大間産。

鯛の中骨で取った出汁のジュレで雲丹を固めており、雲丹一粒あたりが巨大で驚く。

噛みしめると圧倒的な甘みで苦味は無く、ジュレの旨味と適度な酢橘の酸味が支える。

雲丹の口溶けとジュレの口溶けも誤差が少なく、快感とも言える逸品。

揚げもの

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グジ(赤甘鯛)とコシアブラの天麩羅。

揚げ方に妙があり、グジはさらりとほどけ、コシアブラはサクッと切れる。

グジは軽く塩を振って脱水した後に揚げているのか?香りや旨味の伝わり方が絶妙。

コシアブラも野趣を感じる上質な香りを楽しませてくれる。

余談となるが、僕はかつて山に山菜採りに行っていた時期が数年あるため、

コシアブラの香りはその頃の良き記憶を蘇らせてくれる。

天麩羅は小麦粉のみを用い、油は揚げる分だけ使用されているそう。

ひとえに「腕」による味わいだ。

 

お造り

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淡路(由良)産の鯛と、愛知県産のトリ貝。

鯛は塩を振り半日寝かしたもの。

舌に触れた瞬間に甘みが伝わり、驚くべきもの。

鯛らしい歯ごたえもしっかりあり、頂いた後の余韻が上質。

東京でここまでの鯛と鯛の仕事を楽しめるのは嬉しい。

トリ貝も香りが強く、旨味もたっぷり。

付け合せはウド、山葵は天城のもので辛味が鋭く香りも上々。

 

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この季節の定番、鮎魚女(アイナメ)を用いた腕。

京味出身のお店としては意外なまでに出汁が澄みきっており、

塩分も極限まで控えめ。

葛打ちした鮎魚女の、凛々しく自然な甘みと淡くも強い香りがじんわりと広がる。

焼きもの

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山形産の桜鱒。

山形産の桜鱒。

昨今、脂が強くパンチのある魚が使われがちだが、桜鱒とは逆に嬉しい。

清廉な酸味に桜鱒特有の淡い香りが混じり、脂も多過ぎず少な過ぎず。

料理の流れに合致していると感じた。

前の椀の余韻を維持する。

土佐酢を掛けた大根おろしで頂くと、桜鱒の旨味の輪郭が引き立つ。

 

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炊き合わせ

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筍、鯛の子、蕗に花山椒と、実に4月らしい炊き合わせ。

各々の食材が明確に異なる味わい(出汁)で、非常に楽しい。

花山椒も塩気を強く利かせて炊いており、鯛の子の甘めの出汁と良い相性。

蕗に染み込んだ出汁も滋味深く印象に残った。

 

お食事

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お米は山形産の合鴨農法によるコシヒカリ。

ここに、香の物、ちりめん山椒、松阪牛の時雨煮、途中に鰯の醤油煮。

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お米は硬めに炊き、口の中でのほどけ加減が良く、

炊きたてのお米特有の匂いが少なく、甘みが強く、粘り無し。

最後に頂き、するすると入ってしまう実に美味しいご飯。

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ちりめん山椒はしっとり柔らかく炊いているところが印象的。

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松阪牛の時雨煮は肉の脂が強く、甘い。

少量で満足出来、行き過ぎるところが無い。

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鰯の醤油煮もピリッと生姜を利かせ、脂が乗り始めた鰯の魅力を感じさせてくれる。

と言うか、押しなべてご飯に合い過ぎるので、お替り必至である。

誰しも避け難い欲求を喚起する。

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出汁を強く利かせた赤出汁も力強いお米に合う。

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最後にはおこげを。

 

わらび餅

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モチモチと瑞々しいわらび餅。

 

以上の料理に加えて、頂いた日本酒は、岐阜・天領純米大吟醸、

石川・加賀鶴純吟加賀藩、新潟・麒麟山純辛をシェア。

価格はそれなりの価格になりますが、全く以て割高感は無し。

こちらよりも安くても高くても腑に落ちないお店はザラに在る。

自分の理想の日本料理に非常に近く、

また、ご主人がお若いところは着目すべきところです。

将来の進化が心から楽しみになりました。

再訪のハードルもまた高いですが、何とか努力し伺いたいところです。

 

店名:星野

食べるべき逸品:京味仕込みの仕事を独自の世界に発展させる星野氏の料理全般

予算の目安:20,000円~30,000円

最寄駅:内幸町駅から210m、虎ノ門駅から450m、新橋駅から550m

TEL:03-3504-8118

住所:東京都港区西新橋1-18-8

営業時間:18:00~23:00 ※完全予約制

定休日:不定休

 

ご参考になりましたら幸いです!

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