すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 62 樋口@明治神宮前

こちらは外苑前~神宮前界隈で評判抜群な日本料理店です。

料理の写真を見て以来、訪問を楽しみにしておりました。

この度、リニューアルされて程ない折に、お誘いを頂戴して訪問しました。

食好きの友人のお陰で世界が広がるのは本当に嬉しい限りです。

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リニューアル後の設計は、京都・未在で有名な建築家、杉原明氏の手によります。

カウンター上部の天井は非常に低く、

板場の親方と目線が同じ位置となるところが面白い。

天井の低さに加えてイスがハイスツールであるため、

当初は「やや窮屈か?」と思ったものの、

しばらくすると不思議と身体が馴染みました。

どことなく洞窟的な空間です。

そして、カウンターは今日び珍しい上質な建材で、聞けば吉野の檜との事。

親方の想いが詰まったリニューアルだと感じました。

 

料理は抑制を利かせつつ、穏やかさの中に力強い牽引力を持っている印象です。

上品でありながら個性的。

それを成しているのは、ひとえに細やかな仕事の集積だと私見。

素材毎にかなりの手間を掛け知恵を振り絞って構築されているのは明白で、

緻密な調理と出汁で旬の素材の魅力を引き出す事に成功しております。

また、コースの展開に従い風味の強弱をコントロールするストーリー性も見事。

見た目的に「インパクトの有る一皿」は【鰻の丸焼き】くらいでしたが、

それでもグイグイと惹きつけ、次はなんだろう?と楽しみにさせる構成でした。

 

頂いた料理は下記の通りです。

移転されて撮影禁止となったため、文字情報のみでご了承ください。

 

白子の茶碗蒸し

白子自体が出汁で炊かれているようで味わい深い。

軽い風味のポン酢が白子の味を引き立て、センスを感じる。

じんわりと響く確かなる味わい。

 

牡蠣

サロマ湖産の小さな型。微塵切りのエシャロット入りの酢で。

酢の酸味が強くて少し驚くも、磯の香りと甘みが強い牡蠣なので、バランスが良い。

牡蠣の「臭い」を消し、「香り」を立てる良い仕事。

 

海老芋、餅、唐墨、鮟肝

海老芋は非常に軽やかな出汁で仕上げており、口当たりは比較的しっかり目。

出汁の旨味は上品だが、香りは強め。

唐墨は滑らかな食感で塩気と風味が食欲を刺激し、

餅の甘みが加わり満足度が高まるなど、シンプルだが素敵な組み合わせ。

あしらいの木ノ芽も相性が良い。

 

鯖寿司

海苔を用い、ガリが薄切りや微塵切りではなく塊で用いられている。

鯖は脂が結構あり、しっとりした〆加減。

白板昆布に強い酸味を含ませ、シャリにかすかな甘みを付けた仕事。

ここまで頂き、風味の強弱の付け方が巧いと感じる。

 

甘鯛とホンシメジ、めかぶの椀

ホンシメジは、ねっとり、シャクシャクした身を噛み締めると強い旨味が花開く。

出汁はまろやかで広がりがある。

塩気は控えめで、そこに柔らかな出汁の甘みが加わる。

ホンシメジごと煮ているのか?と感じさせる旨味の印象。

 

お造り

燻した鰆を、玉葱醤油で。

燻蒸香は強いが、スッと切れる感じで嫌味が無い。

火入れが良好で、しっとりした身に強い脂が滲む。

玉葱醤油は甘みがあるものの、鰆と一緒に食べると合う。

 

真鯛と寒鰤

真鯛は淡路、寒鰤は氷見と、定番の一流どころ。

鯛は脂が強めで、香りが凄い。

淡路ならではの力強さを感じさせてくれる。

皮は身から落とし、別添え。

寒鰤はきめ細かい旨味に軽やかな酸味が滲み、産地の確かさを感じさせる。

ちり酢はピリ辛で、酸味もしっかり。

 

蕪、フカヒレ、鼈の炊き合わせ

面白い取り合わせで、出汁も鼈。

全てとろとろに炊いているが、もちろん別々の調理で仕上げており、

優しく幽玄な甘みがある。

抑制の利いた生姜の使用量も好印象。

 

もろこの照り焼き

ワタと骨を除去してから丁寧に焼き上げている。

甘みのある醤油味で、ふっくらした食感。

 

牛モモ肉の焼きもの

冷製仕立てで、ちょっとびっくり。

肉厚なローストビーフ的な印象で、山葵に加えて生黒胡椒を使用している点が面白い。

鮮烈な辛味と香りが広がる黒胡椒。

肉は脂がしっかり目であり、供する必然性があるかと言われれば素直に首肯し辛いが、

生胡椒によって印象がアップした。

味付けはエシャロット入りのポン酢か。

 

セイコガニ

身、内子、外子を混ぜた後に身を縦に並べたタイプ。

一体感がかなり高くて良い。

実に優しい仕事。

 

鰻の丸焼き

三重産。なんと、開かずに丸いままじっくりと焼き上げている。

セルフ蒸し焼き状態になっており、

関西風(地焼き)と関東風(蒸し焼き)両方の良いところを楽しめる。

皮はパリパリに仕上げ、丸いため全く逃げていない脂が絶妙な組合せ。

脂はねっとりと脂が絡み、身の火入れはふっくら。

薬味は実山椒の微塵切り。

かなり個性的な仕事である。

ただ、敢えて指摘すると、頂く場所によって味が結構異なるのではないかと感じる。

美味しいので問題は無いのだが、同席したお客でも印象が変わるだろう。

開いていないので、余計に差が出るのではないだろうか。

 

お食事

奈良の都祁米(つげまい)を使用。

最近凝っておられるとの事だが、圧倒的な甘みを有する米。

炊き加減は硬めで、香りも良い!

甘みに加えて、粒が大きく力強い点が特徴だ。

おかずは牛肉の時雨煮(輪切りの松茸入り)と、ちりめん山椒。

ちりめん山椒はしっとりした仕上げ(松川さんと比べるとやや硬め)。

白米の後には、鴨ご飯が登場し、

細切り鴨肉が入ったご飯は、米に鴨の旨味が浸透しており、

噛み締めるごとに滲んで癒される。

香のものは昆布、柴漬け、白菜、蕪。

 

赤出し

さっぱりした味噌に力強い出汁を合わせた赤出し。湯葉入り。

 

蕎麦

極細でさっぱりしており、硬めの茹で加減。

幅にややムラがあり、水気も多いが、中々の味わい

ツユは鰹をかなりしっかり利かせており、辛すぎず甘みがある。

 

水菓子

幾つかから選べるとの事で、一番変態的なものをチョイス。

即ち、【炭火焼きラムアイス最中】。

最中は薄く、炭火焼き故に香ばしい。

噛み締めるとラムアイスとイチジクが登場。

アイスのラムのフレイバーは結構しっかりしているが、

最中生地が香ばしいため、調和していて非常に満足した。

 

写真を見なくても、後に料理の味を思い浮かべられる滋味に溢れた料理でした。

これは是非とも季節を変えて再訪したいと思います。

 

店名:樋口(ひぐち)

食べるべき逸品:上品さの中に個性的が光る日本料理。

予算の目安:コースは15,500円、18,500円、おまかせ(素材次第で20,000円~30,000円)

最寄駅:明治神宮前駅から800m、外苑前駅から850m

TEL:03-3402-7038

住所:東京都渋谷区神宮前2-19-12

営業時間:18:00~21:00

定休日:日曜、祝日

 

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