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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 25 潭亭@儀保(沖縄県)

日本料理編 郷土料理 琉球料理 店鋪情報 沖縄県

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こちらは那覇の全景を見渡せる「虎頭山」にある、八重山料理のお店です。

目の前には首里城が鎮座し、かつて「虎頭山」と言えば、

「虎山松濤」と呼ばれ、「首里八景」に数えられた景勝地であったそうです。

駅から離れており、車で伺っても細い坂道を上らねばなりませんが、

お店にお伺いすると素晴らしい眺望が待っております。

なお、お店の名前は、10数年前まで首里城そばの池・龍潭の近くに在ったことによります。

 

伺った際、幸運にもテラス席が空いていたので、移動させて頂きました。

目の前に首里城、遥か彼方には慶良間島。

また、ゆいレールが通過しますので、電車マニアな人にも嬉しいかと(笑)

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テラスの脇にはアグレッシヴな風貌のシーサーもおります。

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ちなみに、八重山地方とは?

八重山諸島は、石垣島、竹富島、小浜島、黒島、鳩間島、波照間島、

新城島、西表島、由布島、与那国島で構成された島々で、沖縄本島から400kmも離れております。

石垣島には東京から直行便が飛ぶようになったので旅行者も増えているようですが、

それぞれの島が異なる魅力を持っているようなので、巡ってみたいところです。

 

こちらの八重山料理とは、琉球王朝の宮廷料理だった【菜飯】を八重山流にアレンジした料理とのことです。

自ら【彩飯】と呼ばれており、石垣島の食材をわざわざ取り寄せておられるそうです。

琉球宮廷料理の定番料理とともに、オリジナリティを感じさせる調理が加わり、

アダンやオオタニワタリなどの八重山特有の山菜を用いるところが特徴となります。

 

八重山料理の味覚としては、【塩味・甘み・酸味】の三味が基調とされているそう。

中国料理の要素として、咸(塩味)・甜(甘み)・酸(酸っぱみ)・苦(苦み)・辣(辛味)が重視されておりますが、

そのうちの咸・甜・酸が八重山料理に盛り込まれているわけになります。

しかし、個人的には、苦(=ゴーヤー、山菜)、辣(=ピパーチ)も多分に用いる点も踏まえ、

味覚の成立には中国料理の影響が大きいのでは?と感じました。

こちらでは見かけませんでしたが、島とうがらしも珍重されておりますし…

 

また、【合わせ出汁】を用いるところも料理の特徴となります。

一般的な琉球宮廷料理では鰹出汁がメインで、昆布は具として用いる伝統があるそうですが、

こちらは昆布を出汁として用い、野菜出汁(ブイヨン・ド・レギュ-ム!)も合わせている点が面白い。

勿論、椎茸も出汁として使用されております。

 

料理を作られるのは、宮城礼子さん。

お祖母さんが1890年代に生まれ、80歳超の頃(1972年)に「八重山生活誌」を出版された宮城文さん。

「八重山生活誌」では、独自性のある「八重山料理」が生まれた背景として、

八重山では琉球王国の役人と薩摩藩の役人を歓待する必要があったため、調理技術が洗練されたとの事です。

孫の宮城礼子さんは八重山料理を蘇らせるとともに、琉球料理の魅力を現代に伝えることに成功されたと言えるでしょう。

 

まずは、おしぼりを頂きましたが激アツで驚きました。

ここまで熱いのはすきやばし次郎以来です。

注意しないと火傷しますが、熱いおしぼりは心地の良いもてなしですね。

 

八重山東道盆 (トゥンダーブン)

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琉球漆器のお盆を使った前菜の盛り合わせ。

泡盛に漬けたビワ、豆腐よう、ゴーヤーゼリー、八重山味噌の和えもの、なます。

こちらの豆腐ようは非常に滑らかな味わいで、アルコールの苦味が少ない。

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ゴーヤーゼリーは殊のほかゴーヤーの存在感が立っており、ほろ苦く爽やか。

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八重山味噌の和えものは米のコクが強く、ナッツと豚肉とのバランスが良好。

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少量ながらに力強く贅沢な味わい。

 

島野菜と胡椒の葉入りがんもの炊き合わせ

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アダン、オオタニワタリ、島人参、胡椒(ピパーチ)の葉入りがんも、揚げ麩の炊き合わせ。

「胡椒の葉」は生だと辛味が無く、香りがすっきりでディルっぽい印象。

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出汁と素材の旨味を吸っており、美味い。

オオタニワタリは香りが良好で、軽い苦味が特徴的。

食感はシャキシャキ、するする。

アダンは見た目的には筍っぽいが、筍とは異なる食感で、

シャキシャキ、むぎゅむぎゅ。

島人参の甘み、牛蒡の力強い香りと甘みなどに島野菜の魅力を感じる。

自家製ピパーチはバシッと辛味が走り、香ばしく癖になる。

なお、器は大嶺實清氏のものを使用されており、料理を引き立てております。

 

ジーマーミ豆腐

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こちらのジーマーミ豆腐は、ねっとりした食感で、落花生の香りが強い。

タレはどことなくみたらし団子を思わす味わい。

甘みがあるが、控えめになっており、鰹出汁を使っている。

豆腐よう、ジーマーミ豆腐はお店の個性が出て面白い。

 

ンジャナ(苦菜)の白和え

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ンジャナは海岸沿いの岩場や砂地に生える、苦味が魅力の沖縄野菜。

こちらでは、豆腐の旨味と風味を活かし、徐々に苦味を感じさせる調理となっている。

塩気は程良く、鰹出汁を用いつつも控え目で上品。

 

漬物の盛り合わせ

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見目麗しき盛り合わせ。

ゴーヤー、パパイヤ、島らっきょう、甘草、ハイビスカス、瓜で、全て異なる漬け方。

添え合せはフェンネル。沖縄ではウィチョーバーと言うそう。

ゴーヤーは梅干しのような酸味と古漬けのようなコクがあり、ほのかな甘みも。

パパイヤは奈良漬けのよう。

島らっきょうは醤油漬けで、酢は不使用。

甘草は甘酢漬け。

ハイビスカスは花の色素が滲み出ており、酸っぱく脱水されている。

瓜は鰹出汁で漬けているようで、発酵感もある。

 

ジーマーミのお吸い物

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白味噌ではなくジーマーミ(落花生)だけを使用した腕。

鰹出汁のコクが非常に強く、ジーマーミの甘みや風味と一体化。

目が覚めるようなインパクトがある逸品。

ジーマーミのみといえども、ベタッとしたクセなどは無く、落花生のすっきりした香りが心地良い。

あしらわれたハンダマもアクセントになっており、良い。

 

みぬだる、八重山蒲鉾、田芋

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こちらのみぬだるは味付けが非常に控えめで、

豚と胡麻の素朴な味わいを素直に感じる。

下に敷かれているのは長命草。

八重山蒲鉾にはブダイを使用。

ブダイは成長すると雄に性転換する魚で、青いのでいかにも沖縄の魚と言った感じ。

魚の香りがしっかりと感じ取れ、自然な甘みが旨い、丁寧に作られた蒲鉾。

田芋は素材そのものの味を打ち出すべく、ほとんど調味しておらず、少しだけ塩が掛かっている。

箸を入れるとするっと切れて、甘みが広がり、その後ねっとりとした食感が舌を這う。

手を加えていない分、田芋も魅力を感じ取れる個人的に好みの調理。

 

菜飯(さいふぁん)

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さっぱりした鰹出汁をそそいで頂く。

具材は人参、卵、椎茸、キクラゲ、鶏肉、油揚げ。

沖縄の油揚げは薄くみっちりした食感。

自家製ピパーチを振り掛け、香りと辛味を調整する。

 

パパイヤ、パイナップル

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デザートは南国フルーツ。

お茶はブレンド薬膳茶で、ドクダミなどの香りが強く、中国文化の影響を感じるお茶。

 

上記の内容で5,400円とは、非常に高いコストパフォーマンスです。

食材、調理法、味覚のバリエーションに富み、盛り付けが美しく、雰囲気は唯一無二。

琉球料理の常として、日本料理の高級食材との比較は出来ないし無粋ですが、

料理の背景にある丁寧な下ごしらえ、料理の個性を考えると、敢えて訪問する価値のあるお店です。

そして、他の琉球料理のお店や、一般的な沖縄料理居酒屋と絡めて訪問すれば、

尚更魅力が引き立つように感じます。

なお、夜のコースは昼に比べて高くなっておりますが、その分食材が豪華になり、

八重山の魚介の刺身、海藻、セミ海老などを頂けるとのこと。

お昼で「技」と「味」に惚れましたので、今度は夜に伺ってみたいところです。

(眺望はお昼の方がよろしいかと思いますが)

 

店名:潭亭(たんてい)

食べるべき逸品:

予算の目安:コースお昼3,000円、5,000円、夜5,000円、8,000円、10,000円

最寄駅:儀保駅から320m

TEL:098-884-6193

住所:沖縄県那覇市首里赤平町2-40-1 1F

営業時間:11:00~15:00、18:00~24:00

定休日:月曜

 

ご参考になりましたら幸いです!

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