すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 77 祇園又吉@祇園(京都府)

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信頼する友人のオススメで訪問しました。

京都の日本料理だと、ついついはやしさんに寄ってしまいたくなるため、ありがたい情報です。

こちらは祇園のど真ん中にあり、鮨まつもとさんのお隣となります。

店名が示す通りご主人・又吉一友さんは沖縄ご出身。

16の頃より3年間、地元沖縄で修行され、

その後は京都で修行された叩き上げの板前さんです。

お店はオープンから10年が経過したとの事です。

沖縄出身の日本料理人は珍しいように感じますが、

京料理の確たる技術をベースに独自のアレンジを施す料理に舌鼓を打ちました。

 

日本料理の聖地・京都で「敢えて」変化球を交え、強い個性を提示しつつ、

全体的な料理構成と味覚のコントロールに長けているため、

スピード感を持って一気に駆け抜けさせる日本料理です。

冒頭(下記柳川風小鍋から椀まで)は率直に言って怯むところがありましたが、

一連の流れで頂くとグイグイと魅力が向上。

結果的に「ネオ京料理」と言う印象を抱き、アレンジ性と構成力は随一だと感じました。

 

料理の特徴・魅力としては、
1. パワフルで個性的な料理構成、
2. それでいて京料理の繊細さを持ちつつ、クラシカルな調理を敷衍、
3. 季節の「ある限られた時期」を封印した料理とセンス、
だと感じます。

 

コースは16,000円、22,000円、30,000円の3本との事でしたので、
真ん中のコースを予約してお伺いしました。
・先付(温):鯛の柳川風小鍋
・先付(冷) :若狭のぐじ、北寄貝、子持ち昆布
・椀もの:ぐじと昆布の新芽
・向付:鮃、ハリイカ、アブラメ、ケンケン釣り鰹、鰊
・お凌ぎ:塩水バフンウニの手巻き寿司
・若竹煮
・八寸
・焼きもの:桜鱒、オレンジの香りを纏い
・新物のコノワタと鯛、ハリイカの和え物
・氷魚、黄身醤油
・岩もずくとつくしの酢の物
・揚げもの:鮑と旬の野菜の天麩羅
・お食事、後吸、香の物
・鯖寿司
・水菓子5種類

 

しばらくはお茶(焙じ茶)で、食事を楽しみ、

お凌ぎを頂いた後に羽田酒造・六友純吟原酒、

城陽酒造NANZAN純米無濾過生を頂きました。

NANZANは酒米「祝」を用いたかなりレアな日本酒だと思います。

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お酒の価格は高級店としてはリーズナブルに抑えられており、

非常に良心的だと思います。

 

頂いた料理は下記の通りです。

なお、ご主人はお店で料理を感じて欲しいと言う想いをお持ちなので、

写真については一番最後に掲載します。

文章を読んで「行こう!」と思われた方は、決して見ないでください(笑)

「行きたいけど、中々行けないな…」と言う方が、写真で楽しんで頂ければと思い、アップ致します。

 

鯛の柳川風小鍋

鯛の身に加えて白子、真子を用いた柳川風の小鍋。

初手から変化球で、びっくり。

つゆには鯛の香りがしっかりと滲み、

鍋の底面に次第に作られてゆく焦げがアクセントに。

蕗も効果的にメリハリを付け、やや強めの甘みだが重たくなり過ぎない。

 

若狭のぐじ、北寄貝、子持ち昆布。

あしらいはハマボウフウの天麩羅と花山葵、筍の姫皮、あまどころ。

ぐじは寝かせる事はせず、一汐して旨味を強く凝縮している。

北寄貝は非常に甘みが強く、上質な素材である事を感じさせる。

着目すべきは黄身酢。

みっちりした濃密な口当たりと味わいの黄身酢だが、全体的な味覚のバランスが良く、

甘み、酸味、(あしらいの)苦味が実に魅力的に一体化。

ハマボウフウの天麩羅にもセンスを感じさせる。

 

ぐじと昆布の新芽の椀

ぐじに真昆布の新芽と面白い取り合わせ。

吸い地は鰹の香りがかなり強めで、昆布の旨味も強い。

じんじんする程に強い旨味で正直なところ面食らうも、

強い鰹出汁を口に含み、シャクシャクした昆布の新芽を咀嚼していると、

ある考えが去来した。

即ち、ご主人の故郷である沖縄の風味や食感を京料理の椀に落とし込まれているのではないか?と。

沖縄現地で本格的な沖縄料理を食された方ならばイメージ頂けるかと思う。

そのように考える事で、自身の好みを離れ、楽しむ事が出来た。

 

向付:鮃、ハリイカ、アブラメ、ケンケン釣り鰹、鰊

調味料はちり酢、岩茸入りの煎り酒、造り醤油。

鮃&イカ、アブラメ、鰹&鰊の順に3種類に分けて供される。

旬の名残、走り、旬と言う構成でピンポイントに季節感を楽しめる、非常に面白い構成。

鮃は明石産。鮃は名残に当たるが、香りを楽しませてくれる。

ハリイカ(標準和名はコウイカで、江戸前の墨烏賊)は特有の食感があり、甘みもしっかり。

尚、あしらいは桜の葉で、これら2種の魚に対して用いる粋を感じさせる。

こちらの煎り酒は塩気と酸味が強く、甘みが根底を支えている。

最近、煎り酒を供するお店が増えたので、比較が面白い。

 

アブラメ

明石産、標準和名はアイナメで、関西を代表する高級魚。

皮を引いた後に皮煎餅として供される点も好ましい。

プリプリした身に、活き活きと跳躍する脂が内在し、実に美味。

 

ケンケン釣り鰹の藁焼きと朝どれの鰊

ケンケン釣り鰹は和歌山のプライドフィッシュで名称は漁法に因む。

いわゆる「初鰹」だが、非常に脂が強く、食感は瑞々しく、香りは優しい。

どうしても「初鰹」と言うと淡白で酸味が強いために、

魚味に対して香りが強めに感じられる事が多いが、

ケンケン釣りの鰹は旨味も強い。

その上、今年は「初鰹」であっても例年よりも旨味が上である模様。

鰹についての言及が長くなってしまったが、鰊の方も秀逸である。

北海道は3月下旬以降に旬に入る鰊。

それを空輸で、京都で頂ける喜び。

脂が強く乗っており、脂の質は上品。

そして、香りは優しく、鰊特有の嫌味は皆無。

向付の最後に鰹と鰊を配置するセンスは稀有であろう。

 

お凌ぎ

北海道産塩水バフンウニの手巻き寿司。

なんと沖縄の黒酢を用いているようで、炊き加減は硬めで良い。

海苔も非常に美味しく、パリパリで口溶けが良く、旨味が強い。

 

若竹煮

長岡産の筍。

甘みが強いので伺ったところ、知り合いから送ってもらっているとの談。

東京だと産地を気にする傾向があるが、確かに産地は重要で広く京都産は格別だが、

筍で何よりも重要なのは鮮度だと感じる。

個人的に、筍と松茸は旬の時期に京都で頂くのが一番だと思う。

(勿論、東京でも美味しい筍を出されているお店はありますが、如何せん高い)

出汁は(椀とは対照的に)鰹を行きすぎない範囲で用いており、

ワカメも歯応えが抜群で、完成度の高い若竹煮。

 

八寸

削った氷に筍型の器を配置し、名残雪から顔を出す筍をイメージした八寸。

スモークしたホタルイカ、白身のコンフィ、車海老、イカのつくね天麩羅、

蕗味噌、鮃の朧昆布巻き、生節をまぶしたチーズの醤油漬け、牡蠣のオイル漬け、桜鱒の黄身寿司など。

詳述は割愛するが、実にお酒に合う八寸であった(笑)

日本酒を頼んでいて正解…

そして、個人的には向付の後からお酒を頼むスタイルは、

食を楽しむ為に有効な選択肢なのではないか?と感じた。

どうしても最初からお酒を頼みがちだが、今後は途中から頼んで、可能性を試していきたい。

 

桜鱒の焼きもの、オレンジの香りを纏い

焼き上げた桜鱒にオレンジの香りを託すのも斬新で面白いが、

野菜を油焼き(=軽い素揚げ状態)にしている点も見逃せない。

野菜は、滋賀県竜王のどんこ椎茸、赤と黄のパプリカ、牛蒡、青唐辛子、蕪。

全て無農薬との事で、付け合わせは胡麻味噌酢。

オレンジ香が決して嫌味では無く、寧ろ淡白な鱒にアクセントを加えている。

 

新物のコノワタと鯛、ハリイカの和え物

上鳥羽の製麺屋・麺屋棣鄂(めんやていがく)の全粒粉ラーメンと合わせている。

寝かせた鯛の旨味に、新物コノワタの瑞々しく爽やかな磯の香りが寄り添い、

酢橘の皮も良い相乗効果を生み出している。

麺は甘みがあり、香りも楽しめ、食感はパッツリと気持ち良い。

 

鮑と旬の野菜の天麩羅

野菜は空豆、タラの芽、蕗の薹。

このラインナップは嬉しい!

そして、鮑は極めて柔らかかったので伺ったところ、

圧力を掛けて繊維を柔らかくしている模様。

圧力鍋は素材に味を浸透させる料理、カレーやシチューには実は向いていないが、

素材に味を浸透させずに繊維質を柔らかくする事には長けている為、天麩羅に適っている。

 

氷魚、黄身醤油

貴重な鮎の稚魚である氷魚だが、今年は漁獲量が極めて少ない模様。

琵琶湖におけるブラックバスの急増とスポーツフィッシングが理由である。

個人的にcatch & releaseとは極めて独善的な行為であり、

僕はcatch & eatの釣りしか行わない主義である。

閑話休題。

こちらのご主人は今年の稀少性に対して何も言わずサラリと出され、

大変素敵だと感じた次第である。

 

岩もずくとつくしの酢の物

つくしは完全にアクが排除されている。

 

お食事、後吸、香の物

他の料理にも使用されていたが、器は九谷万平窯。

お料理は毛蟹と筍の飯蒸し。

筍の容れ物には番茶を蒸して香り付けを行っており、最初に漂う香りが粋である。

椀は帆立と筍の真薯。

赤味噌と白味噌を合わせており、出汁は鰹がしっかりだ。

 

鯖寿司

隣の常連さんと関西の鯖寿司の話をしていたところ、即興で作って頂いた。

思わず感動した。

鯖は今の時期の鯖を活かすべく炙っており、酢飯には胡麻を混ぜている。

〆加減はしっとりしており、大変美味しい。

このサービスと味には、鯖の旬に再訪したいと思わされた。

 

水菓子5種類

グレープフルーツとオレンジ、揚げた小豆餅、プリン、山椒チョコレート、トマトジュース。

小豆餅は塩気と香ばしさが良く、プリンは濃厚かつ滑らかで美味。

トマトジュースは非常にスッキリしており嫌らしさが無い。

山椒チョコレートは香りが優雅で、上品な麻(笑)

 

 

店名:祇園又吉(ぎおんまたよし)

食べるべき逸品:京料理に独自の感性を加えた唯一無二の日本料理。

予算の目安:コース16,000円、22,000円、30,000円〜

最寄駅:祇園四条駅から350m

TEL:075-551-0117

住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-123

営業時間:12:00~13:30、18:00~20:00(L.O.)

定休日:不定休

※完全予約制です

 

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