すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 78 行楽庵@大津市(滋賀県)

こちらは滋賀県・大津市萱野浦に在る素晴らしい日本料理店です。

食通の友人のオススメで訪問しましたが、心より楽しませて頂きました。

個人的には京都の御料理はやしさん、

徳島の虎屋壺中庵さんと並んで自身の琴線に触れた次第です。

黄昏時に表情を変える琵琶湖を眺めつつ、お店を訪問…

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お店の看板には「椀・向・八寸」と掲げられており、否応無しに期待を高めてくれます。

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店内はカウンターではなくテーブル席で、気兼ねなく寛げる空間です。

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夜のコースは1万円、1.3万円、1.6万円の3つが用意されており、

1.6万円のコースをお願いしました。

実は当初は真ん中のコースを予約していたのですが、

結果的にアップグレードして大正解!

質、仕事、量の三拍子が揃っており、バリエーションの豊富さに驚嘆を覚えました。

そして、個々の仕事の精密さが群を抜いており、

先付から思わず笑顔がこぼれてしまいました。

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お酒は滋賀のお酒を2種類頂きました

北島酒造・近江米のしずく、竹内酒造・明尽。

北島酒造さんは1805年(文化2年)、

竹内酒造さんは1872年(明治5年)創業の滋賀を代表する酒蔵です。

美味しいお米、美味しい水が揃った滋賀県は

日本酒好きには堪らないエリアの一つですね。

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御料理の前に、まずは桜茶。

強い塩気と共に香りをたっぷりと楽しませてくれる。

 

そして、一献頂き、御料理に。 

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先付

白魚、山芋、胡麻ペースト。

シンプルな調理ながらに度肝を抜かれた。

山芋に浸透した出汁と胡麻ペーストが調和し、自然への畏敬すら沸いてくる味わい。

鰹節の軽やかな香りが立ち、白魚の淡い苦味がアクセントに。

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八寸

一つ一つが強い個性と存在感を放つ、圧巻の芸術的八寸。

あるいは一品一品が笑顔の連鎖を生む八寸だと感じる。

鰻の八幡巻き、蓮根サーモン巻き、玉子焼き、海老の黄身寿司、小芋、雲丹帆立、

擬製豆腐、赤こんにゃく、鮒鮓、白魚おかき揚げ、タラの芽炊いたん、

若竹の白味噌木ノ芽餡と花山椒、つくし炊いたん、キャヴィアなど。

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海老の黄身寿司は淡くサラリと溶ける食感で秀逸。

擬製豆腐は生姜と出汁で固め直したもの。

赤こんにゃくですら美味しい仕事が施されており、ニヤリ。

近江八幡の名物であるが、細やかな包丁を入れて出汁を浸透させ、歯切れも良い。

鰻の八幡巻きは土の香りがダブルで香り、芳醇。

他の料理にも、香りによるアクセントが八寸の小宇宙に光る。

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鮒鮓はチーズを混ぜており、酸味とコクが多重化している。

パンには海胆が塗られており面白い。

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白魚おかき揚げは徹底的に軽やかな衣。

塩気が強めなので、酒肴として最適。

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つくしは非常に若いものを採取し、丁寧に灰汁を抜いている。

あしらいが珍しく、何とこごみの茎。

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筍に木ノ芽餡をまぶし、花山椒をあしらった嬉しい一品。

季節、伝統、個性を感じさせる完成度が極めて高い八寸だった。

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椀もの

胡麻豆腐、車海老、わらび、こごみを用いた吉野仕立て。

胡麻豆腐の中から海胆が現れる。

胡麻豆腐はねっちりとした食感で、柔らかく深い甘み。

海胆の甘みと協奏する。

吸い地は強めの鰹出汁だが、とても円やかで、

二重奏の甘みや吉野葛のとろみが力強さを打ち消し調和している。

海老に隠し包丁を入れている点も嬉しい。

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向付

鯛は一塩しており、ねっちりした食感に旨味を封印。

塩気の強い〆方だが、付け合わせが梅肉餡と煎り酒なので、爽やかに頂ける。

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煎り酒は梅の酸味を押し出した味付け。

旨味的にも香り的にも塩気的にも酒肴になる向付である。

尚、鯛の奥に潜むのは莫大海。

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大阪キタのどおぞのさん以来の嬉しい再会。

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向付

針魚、赤貝、鮪トロ、紋甲烏賊。

ちり酢は辛味が強めで、ネギの香りを利かせている。

先ず驚いたのが紋甲烏賊。

安いと言うイメージが強い烏賊だが、実に甘みが強い。

ねっちりした身を噛み締めると、ひたすらトロトロととろけ、甘みが満ち溢れる。

下手なアオリイカ以上で、驚いた。

包丁も細やかでありながら過剰ではなく、個性を残す技がある。

針魚はプリプリな食感に(〆で)仕上げており、香りと優しい旨味を楽しめる。

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煮浸し

青柳、アスパラガス、サヤインゲン、生姜の細切り、椎茸、大根。

青柳は甘みが来た後に香りが漂う。

全体として複合的な甘みと香りの協奏が魅力的!

サヤインゲンの食感がリズムを作り、

素材の個性が滲み出た最後のツユがまた美味である。

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ホンモロコの木ノ芽醤油焼き

表面はカリッと照り焼きにして、中はしっとり仕上げている。

味付けは甘辛く強めの味付けで、微塵切りの木ノ芽との相性が良い。

ガブリと頭からかじれば、心地良い苦味に包まれ、後に立ち上がる香りが良い。

氷魚とともに、ブラックバスに駆逐され、漁獲量が減っているそうで悲しい限り。

付け合わせは蕗の葉を醤油強めの味付けで炊いたもの。

凛々しいモロコを引き立てる器が余りにも印象的だったので、

底面を見たところ、「大明嘉靖年製」の印字。

よって、17世紀末頃の有田の金襴手かと思われる。

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鮑の柔らか煮と鯛の白子

正攻法の日本料理が続いた後に、驚くべき変化球。

本当に柔らかく炊いた鮑を、油を引いて焼いている。

ただ、鮑は柔らかいものの、柔らか過ぎず程良い歯応えを残す。

鮑の香りが立ち、濃厚な肝ソースが抜群に旨い。

コースの流れ的に次第に味を強めていき、展開の速さが面白い。

畳み掛けるような力強さを感じさせる。

鯛の白子も火入れが良く、プツッと皮がはちきれた刹那、とろ~りととろけ出る。

マスタードも妙に映える。

穏やかな創作色がサポートに回り、順当にコースを纏めている。

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酢のもの

蛸、トリ貝、オクラ。

蛸はさっと茹で、吸盤がコリッコリで快感。

味付けは酢が強めの加減酢でキリッと引き締める。

器が大変良かったので伺ったところ、萩焼との事。

思わず様々な側面から撮影してしまった(笑)

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炊き合わせ

なんと桜餅を用いた炊き合わせ!

桜の器から桜の香りが漂い、桜色の桜餅(餡は無し)が現れる。

そして、若竹、蕗と嬉しい春の組み合わせ。

桜餅は米粒がしっかりしつつ、口の中でホロリとほどける。

良い塩梅に挽いた道明寺だ。

よって、炊き合わせに用いても違和感ないし野暮ッたさが無い。

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お食事

立て続けになんと(笑)、田楽ご飯!

これは良い。田楽味噌のパンチがありつつ、料理として上品にまとめておられる。

豆腐は歯切れ、口溶けの良い絹ごし豆腐。

ご飯にはわさび菜と蕗が混ぜられており、風味と食感に一捻りがある。

地ものの近江米は非常に小粒で、甘みが強く、粘度は低い。

ざっくばらんなご飯だが、一体感とメリハリがあり、食べる喜びに満ちていた。

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水菓子

イチゴゼリーにオレンジのソース。

イチゴがたっぷりで嬉しく、オレンジの酸味も爽やか。

ソースにはコアントローなどの洋酒(リキュール)に加えて、レモンも混ぜられている。

そして、ゼリーは口溶けが良いので伺ったところ、

ご主人が探し抜いて見つけたゼラチンを使用しているそう。

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水菓子

うすい豆を用いた金団。

うすい豆の香りがしっかり!

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お薄

苦味を強調した抹茶がキリッと引き締める。

 

季節を変えて訪問したくなる、いや、訪問せねば!と感じた次第です。

食べる事が好きな、大切な人と訪問したいお店。

 

店名:行楽庵(こうらくあん)

食べるべき逸品:きめ細かい仕事と穏やかな創作性が光り、八寸に重きを置いた日本料理。

予算の目安:10,000円〜

最寄駅:瀬田駅から1,700m

TEL:077-545-6335

住所:滋賀県大津市萱野浦25-1

営業時間:12:00~13:30(L.O)、18:00~21:00(L.O)

定休日:不定休

 

ご参考になりましたら幸いです!

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