すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 100 角正@高山(岐阜県)

こちらは岐阜高山で200年ほどの歴史を持つ料亭です。

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建物、庭ともに江戸時代から続く市指定の文化財で、

格式を感じさせる入り口の先に広大な中庭が広がっております。

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足を踏み込んだ後に広がる光景には息を呑みます!

 

そして、得意とする料理は精進料理。

こちらはなまぐさもの(精進の対義語、要は魚介や肉類)を扱う懐石料理も供されておりますので、

精進料理と言えどもお寺よりも料亭寄りの調理技術が活かされております。

精進料理の枠組みの中で、個性的で洗練された料理を構築されている次第です。

流石、京都の名店・瓢亭で修行された経験をお持ちの当代。

京都の大徳寺一久と同じレヴェルの味わいを楽しませて頂き、

盛り付けには白雲庵のような綺羅びやかさを感じました。

今回通して頂いたのは中庭を見渡せる離れ。

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車の音こそ聞こえるものの、合間に静寂が訪れると非日常そのもの。

水の音や葉がかすれる音のみが去来し、まさに深閑。

心が洗われ、高山に流れる風を感じる事が出来ます。

日本人のみならす外国人旅行者の人気も高い高山ですが、

中でも粋人が伺うべきは、こちらと言えるかと思います。

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お薄と角正落雁

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香ばしい落雁で、甘さと香りにホッと安らぐ。

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ゆべしの揚げものと黒豆のぶどう炊き

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ゆべしの揚げもの

衣はガリガリ、サクサクの心地良い歯応え。

柚の香が漂い爽やかでありながら、塩気と油で胃袋を刺激される。

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黒豆のぶどう炊き

ふっくらと炊いており、上品な甘さにニッキの香りを利かせている。

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生盛膾(いけもりなます)

飛騨高山の伝承料理であり、裏漉しした豆腐に具と薬味を混ぜる。

抹茶羊羹、炊いた岩茸などが個性的。

頂いてみると、濃厚な大豆の風味に五味が合わさり美味。

中国で考えられる五味、即ち甜(甘)、酸、苦、辣(辛)、咸(塩)を活かし、

酸は米酢だろうか?一体化した時の味覚の一体感が楽しい一品。

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椀種は枝豆の真丈、松茸、冬瓜。…手ブレ、申し訳ありません。

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松茸の香りはしっかりと力強く、吸い地に松茸の旨味が滲む。

精進料理なので鰹節を用いていないものの、満足感が強い。

枝豆真丈の衣にはあられがまぶされており、風味とパンチを付与。

精進料理において調理技術や個性を見極めるべくは椀だと再認識する。

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真挽き揚げ

甘長唐辛子、豆腐、宿儺南瓜(すくなかぼちゃ)。

宿儺南瓜は当地方の伝統野菜。

そして、真挽き粉とは、餅米から作る道明寺粉を更に細かく挽いたもの。

ただ、こちらの衣は粒子が大きく、オリジナルなのでしょうか?

硬いパフ的な食感で、香ばしい。

豆腐は滋味深く、カボチャは爽やかな緑の香りを感じさせる…

熟成を掛けていないのか?あっさりした甘みを楽しませてくれる。

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蕎麦

細打ちで、蕎麦の甘みがある。美味。

ツユは醤油のキレがあり、鰹出汁が無くとも牽引してくれる味わい。

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八寸

精進料理の楽しみの一つは、前述の椀に加えて八寸。

伝統的な仕事を楽しめ、郷土色や中国料理の影響を感じられる為。

雷蒟蒻、胡瓜の白和え、生麩の時雨煮、焼きおかべ、青梅、みたらし小芋。

焼きおかべとは、擬製豆腐の事です。

胡瓜の白和えには椎茸の旨味を活かす。

胡瓜の食感が気持ち良い。

焼きおかべ(擬製豆腐)には甘みが強めで面白い。

雷蒟蒻は殊のほか辛口でビックリ!

包丁の入れ方が良く、味を染み込ませ表面を焼く事でパンチを付加している。

そして、中でも特に美味しかったのが、生麩。

食感は快感とも言うべき歯応えで、極細切りの生姜並びに油の使い方が絶妙。

油の使い方に加えて醤油と生姜の塩梅に、中国料理のテイストを何処かに感じさせる。

尋ねなかったが、和えているのではなく、炒めているのかもしれない。

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冷製炊き合わせ

国府茄子(これも伝統野菜)、生湯葉、ささげ豆。

これもまた油が要。

国府茄子は揚げ浸しにして、しっかりと油を吸い込んでいるためパンチが有る。

ひんやりして、じゅわっと大豆の旨味を滲ませる生湯葉と好対照。

寧ろ、通常の懐石の(なまぐさものを用いた)炊き合わせよりもパンチを感じた。

この辺りの細部のサプライズこそが、精進料理を頂く魅力。

こどもの頃は精進料理が苦手だったが、大人になり食べこむ程に面白い。

個々人の食の経験に比例して面白さがアップするのが、精進料理だと感じる。

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もずくの雑炊

もずく以外に、微塵切りにしたナメコ、茗荷、牛蒡。

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これは美味しい。

地味な食材を合わせつつ、喜びを与える。

ひとえに、取り合わせと包丁の技術、調味のセンスが為す技。

もずくとナメコのとろみが満腹感を刺激し、

牛蒡の野趣と茗荷の風味がアクセントで飽きさせない。

そして、付け合せの赤紫蘇が酸味を加え、味チェンの喜びも。

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水菓子

桃、葡萄、レモンゼリー。

果物に少し手を加えているのが、老舗でありつつ大変好ましい。

 

味わい、設え、接客ともに高山の財産と言うべき名店だと感じます。

一言で言うと、気持ち良くなれるお店です!

 

店名:飛騨高山 角正(ひだたかやま かくしょう)

食べるべき料理:渋いイメージを覆す、美しく美味しい高山流の精進料理。

予算の目安:精進懐石10,000〜、精進点心5,500円〜

最寄駅:高山駅から1,100m

TEL:0577-32-0174

住所:岐阜県高山市馬場町2-98

営業時間:11:30〜13:30(LO)、17:30~20:00

定休日:不定休

※完全予約制です

 

ご参考になりましたら幸いです!

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