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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 176 銀座 鮨 わたなべ@銀座

2016年で一番伺った鮨店である、銀座わたなべさん。

師走の最終週に鮨食べ納めでお伺いました。

そして、渡部親方の仕事の魅力と共に、江戸前の魅力を再認識。

僕は地方で頂く事も多いですが、東京で頂く江戸前仕事、

特に「古典」を把握された親方の握りは、鮨好きの胸を打つものがあります。

若手職人さんの端正な握りも魅力がありますが、

伝統とキャリアに裏打ちされた握りは、

真に魚を旨くし、鮨たらしめていると感じます。

鮨職人の伝統や修業を否定する向きが最近ありますが、

それらは鮨の魅力を解さない方の表層的な言説である事が分かります。

何がどう、と言うのは握りに対する個々のレビューを見て頂くとして、

それ以上に感覚と味覚でしか捉えられない一体感や驚きが、

渡部親方の握りにはあります。

 

この度頂いた日本酒は、誠鏡・辛口純米、南・純吟、金鶴・純米を2人で。

頂いた酒肴は下記の通りです。

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塩辛明太

烏賊肝は上品な風味で、ピリ辛。

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鰹、鰤、アオリイカ

鰹は時期的に極めて珍しい土佐のもの。

漬け加減が抜群で、ねっちりとした旨味と強い香り、酸味のバランスが素晴らしい。

寒鰤は良い脂!

アオリイカはかなり細かく包丁を入れており、ひたすら甘い。

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青ナマコ

能登産。元来の食感は硬めだが、薄切りで歯切れを良くする仕事。

茶ぶりで柔らかく仕上げる仕事とは異なり、

塩を振ったナマコを10分ほどザルで振り続けて柔らかく。

香りとコリコリ感が高いのが魅力。

ヌメヌメな身がとろっと切れるのは快感。

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炙り〆鯖

八戸産。八戸の鯖は美味しいですね。

鯖の旨味、酢の酸味、炙りによる燻蒸香のバランスが良い。

付け合せの辛味大根は脂の甘みを引き立て、

四万十産の生海苔はフレイバーを一つ追加。

元々の仕事と薬味の一体感が実に素晴らしい。

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ばくらい(莫久来)

ホヤとこのわた(ナマコの腸)で作る塩辛。お酒を盗む良き酒肴。

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香箱蟹(セイコガニ)

名残の香箱蟹。シンプルかつオーソドックスな調理で、

穏やかに香箱の魅力を引き立てている。

 

この後、握りに移行します。

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ホウボウ

一貫目から嬉しいタネ。深海の貴婦人、ホウボウ。

食感はぷりぷりで、強い甘みが炸裂!

朝から軽く寝かせた程度なので、旨味が自然でありながら、極めて印象的。

素晴らしい仕事。

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淡路島産。甘みが引き出されており、とろろんとした食感から強い旨味が滲むので、

酢で洗って旨味を凝縮しているのかと思ったが、完全に生との事。

仕入れたモノの状態によって仕事を適切に選択されるところが見逃せない。

細切りの紫蘇も良いアクセントに。

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墨烏賊

小柴産。食感はパッツリよりもねっとり寄りだが、塩によって甘みが爆発する。

烏賊と塩は今や定番中の定番だが、適量でないお店も散見される。

渡部親方は流石、かなりのバランス感覚(柚子も含めて)。

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べったら漬け

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蛤の潮汁

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カワハギ

これもまた冬にお待ちかねとも言えるタネだが、

シャリが少々みっちりであり、一体感に欠けている点が少し残念であった。

多分、マニアしか気付かない程度の差ですが(笑)、満席であった事が原因かな。

流石に師走の最終週、いつになく混み合っており、親方もフルスピードであった。

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小鰭

しっかり〆て旨味と香りをしっかり楽しませる!

〆て酢にさらした後、2日程寝かせている。

これぞ江戸前仕事とも言える、美味しい小鰭。

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烏賊の印籠詰め

小鰭の後に印籠詰めとは泣かせる(笑)

クラシカルな仕事の連打。

こちらでは柚子胡椒を用いている点がユニークで、

烏賊は歯応えを残しつつ柔らかく仕上げている。

煮ツメは濃厚な旨味を有しており、好み。

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鮪トロ

紀州産。旨味は非常に強いが、サラリと溶ける脂はクドくない。

しかし、2016年の大間は鮪不漁の年であった。

餌のスルメイカ自体が少ない事が一因だが、

量が少ない上に、モノの状態が下がるのが早すぎた。

大間に遡上する前に網で乱獲している事も一因だろう。

サステイナビリティを考慮した資源の活用が日本の課題と考える。

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海胆軍艦

浜中のバフン。強い甘みと海苔の風味が相性バッチリで、明礬の収斂味はほぼ無し。

12月末のバフンウニとしては非常にクオリティが高く満足。

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穴子

対馬産。対馬産は今や秋〜冬の穴子の一大産地だが、こちらのモノは特に上質。

仲買人との長い付き合いが奏功しているのだろう。

更に、煮仕事が素晴らしく、柔らか過ぎず適度に穴子の繊維を感じさせる加減。

個人的にはトロトロ過ぎるよりもこのくらいの煮加減の方が穴子を楽しめる。

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北海道産の良いモノが入ったとの事で、追加。

強い脂を強い〆加減で封印しており、梅肉餡で味を引き締める。

全てのバランスが完璧で、大変美味しい。

更に強い脂の鰯の握りもそれはそれで魅力的だが、仕事の精度に目を瞠る一貫。

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玉子

前回と同じく帆立を用いた玉子。

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小鰭

もう一貫頂きたく親方に尋ねたところ、当日〆た小鰭があるとの事で食べ比べ。

こちらは小鰭の脂の旨味がストレートに伝わる塩梅で、良き〆となった。

小鰭の食べ比べは大好きです(笑)

 

銀座の一等地にあって素晴らしいコストパフォーマンスを誇るお店。

2017年も通わせて頂きたい思います。

 

店名: 銀座 鮨 わたなべ

シャリの特徴:塩と赤酢のみを用いつつ、バランス良好。温度も最適。

予算の目安:15,000円~20,000円

最寄駅:銀座駅から100m

TEL:03-3572-3330

住所:東京都中央区銀座5-6-14 銀座ビルディング3F

営業時間:17:00~23:00

定休日:日曜、祝日

 

ご参考になりましたら幸いです!

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