すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 110 阪本屋@大津(滋賀県)

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こちらは1869年(明治2年)創業の、日本で初めての鮒鮓専門店。

鮒鮓はスシの原点であるにも関わらず、それまで商品化されていなかったのですが、

こちらの「阪本屋」は江戸時代に膳所藩お抱えの御用料亭であり、

鮒鮓を得意としていたため、初の専門店として開業するに至ったそうです。

 

そもそも、鮒鮓の元となるナレズシは「千数百年前」に大陸から日本に伝わったとされております。

日本における初出は8世紀前半に編纂された「養老令」で、

その中にアワビやイガイ(貽貝・Mytilus coruscus)のナレズシが登場します。

737年の「但馬国正税帳」には、難波宮の造営工事にあたって、

様々な魚介を使った雑多な鮓を人足に支給したと記載されております。

927年の「延喜式」では文字上の統一がなされ、鮓の字よりも、鮨という表記が大幅に増加。

鮨に用いられる素材としては、鮎が12回、鮒が9回と言及されております。

現代に残る素材に近い…

しかし、それがスシ初出から190年後にして、多いのか少ないのか。

調理法が洗練されたのかどうかは、文献からは読み解けないのが正直なところかと思います。

 

その後、室町時代以降にナレズシは今のスシに近いものとなります。

ナレズシでは素材を半年から2年ほど漬け込んでいたのに対して、「生ナレ」という新しい形式では、

早ければ3〜4日で食し、遅くとも1〜2ヶ月(!)で食されるようになりました。

これによってスシは広範囲に広がることとなります。

そして、生ナレから京都・大阪の押し寿司、箱寿司になり、

さらには江戸前の握り鮨へと変化していく。

鮨の進化は速度の変化、様式美への収斂のように感じます。

(握り鮨における進化については長くなるので、この度は割愛します)

 

しかし。

生ナレが流行った後であっても、ナレズシは琵琶湖周辺に残り、古きスシの形を留めました。

現在でも、滋賀県こそがナレズシ=スシの原型を継承する土地なのではないかと感じます。 

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こちらのお店は天然のニゴロ鮒と近江米を使用し、

伝統的な鮒のナレズシ(鮒鮓)を販売しており、

しかも、大津市内で購入することが出来ます。

 

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鮒鮓

意外にも味はさっぱり目で、鮒鮓が初めての人でも食べやすいのではないかと思います。

お酒のおつまみや、お茶漬けの具にすることが多いようですが、

徳山鮓を真似してチーズとトマトソースで頂いても中々でした。

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使用するチーズはまだまだ検討の余地があるので、

何が良いとオススメ出来ないのが恐縮ですが…。

クセが強いとナレズシと喧嘩してしまうので、クセが無いタイプの方が良いです。

 

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鮎宝来漬

合わせて、鮎のナレズシも是非。

鮒よりも更に食べやすいかもしれません。

ただ、鮒の方が子持ちゆえか旨味が強いように感じましたが。

 

ナレズシって何?と思う方は、まずは食べてみることをオススメします!

今のスシとは全然違いますが、紛れも無くスシの原型ですので、

鮨好きでしたら感謝の念が湧いてくるかもしれません(笑)

発酵食品が大丈夫な方ならば、意外な美味しさを再発見されることかと思います!

 

オフィシャルサイト:元祖阪本屋

 

店名:阪本屋

予算の目安:2,000円~

最寄り駅:浜大津駅から550m、上栄町駅から320m

TEL: 077-524-2406
住所: 滋賀県大津市長等1-5-21
営業時間:9:00~18:00

定休日:日曜

 

ご参考になりましたら幸いです!

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