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すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 43 飴源@唐津(佐賀県)

日本料理編 日本料理 摘草料理 店鋪情報 佐賀県

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こちらは1838年(天保9年)に創業された、由緒正しき川魚料理、摘草料理の名店です。

「海の幸が豊富な唐津で川魚!?」と思われるかもしれませんが、

唯一無二の個性を有するお店です。

お店の裏を流れる玉島川で獲れる天然物の鮎、鰻に加え、

ツガニ(モクズガニ)を用いた料理は遠方から訪れる価値があります。

創業以来、頑なに天然物のみを使用しておられ、

他では頂けない確かな味わいを楽しめます。

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尚、変わったお店の屋号の由来については、

初代田中源吉が川魚料理に加えて水飴屋も営んでおり、

「飴やの源さん」と呼ばれていた事に因むそうです。

余談となりますが、玉島川には古事記・日本書紀まで遡る

鮎にまつわる伝説があります。

その昔、神功皇后は百済の救援に応じ新羅に出兵する際に、

玉島川で戦占をしたと言います。

その戦占とは、鮎の釣り。

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日本書紀には、

是(ここ)ニ皇后針ヲ匂(ま)ゲテ鈎(ち)を為(つく)リ、

粒(いいぼ)ヲ取リテ餌ニシ、

裳の縷(いとすじ)ヲ抽取(ぬきと)リテ緡(つりのお)ニシテ

河中ノ石ノ上ニ登リテ鈎ヲ投ゲテ祈(うけ)ヒテ曰ク云々

とあり、結果的に年魚=鮎が釣れたため、戦勝間違い無しとされたそうです。

この伝説に由来し、鮎は魚に占うと書くようになった模様…

更に、面白い事に神功皇后が金の針を使ったため、

玉島川の鮎の口は黄色いと言われております。

鮎にまつわる伝承としては最古なのではないでしょうか…

 

閑話休題。こちらのお店の料理の話に戻ります。

上記伝承にまつわる玉島川の鮎や鰻も美味しいのですが、

こちらでファンが最も多いのがツガニ。

ツガニは標準和名モクズガニで、中国の上海蟹の同属異種となります。

モクズガニは全国に分布しておりますが、頂けるお店は結構少ない。

その中でもこちらのお店は扱いに長けており、

クセの無い上質なモクズガニを頂く事が出来ます。

僕は鮎を狙っての訪問でしたが、モクズガニを狙う場合は秋がベストなようです。

 

モクズガニのみならず、こちらの川魚の扱いの巧さは流石と言わざるを得なく、

独特の泥っぽさを排除し、旨味を引き出す調理に終始感嘆を覚えました。

強い味付けの料理もありますが、川魚の風味を壊していないところが素晴らしい。

玉島川の魚に合った調理法を長年培われてきたんだな、と心から感じ、満足致しました。

 

頂いた料理は下記の通りです。

 

鮎の酢のもの

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酢の甘みは強めであるが、鮎の香りがふわっと香り、爽快。

あしらいのミズイモ(タイモ)もシャキシャキと良い歯応えで、夏らしい先付。

しかし、琉球料理の重要食材であるタイモ(たーむ)が食されているとは、興味深かった。

 

うるか

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叩いた長芋と合わせており、これもまた爽やかに頂ける。

 

青梅のシロップ漬け

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鼈(スッポン)のスープ

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鼈から濃厚な出汁が取られており、それでいて上品。

雑味が皆無で、力強い香りがあり、食欲が高まるスープ。

 

お造り

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鯉の洗いと鮎の背ごし。

魚だけでなく野菜も自家菜園で作っておられるとの事で多種多様。

ルッコラ、そうめん瓜(金糸瓜)、ミズイモ、紅芯大根、

ピッコロ人参、蓼の葉、紫蘇の葉…

付け合せの味噌ドレッシングと柚子胡椒。

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鯉の洗い、鮎のせごし共に川魚特有の癖は無く、下処理と包丁に妙を感じる。

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鮎の魚体は大きくなさそうだが、刺し身であっても強い甘みを楽しめる。

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鯉も旨味が強く、骨の処理も良い。

薄切りによって鯉独特の食感を感じ易く、完成度の高い川魚のお造り。

 

ミズイモの胡麻和え

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前述のものとは異なる調理で良き箸休め。

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鮎の塩焼き

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口元は確かに黄色い…かも。

かなりさっぱりした香りだが、旨味がしっかりある。

火入れも上々。

 

鮎の飴焼き

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泉屋でも記載した通り、僕は基本的にはシンプルな味付けの焼きものが好きだが、
こちらの【飴焼き】は鮎を完全に活かしており、秀逸。

コクのあるタレを掛けてじっくりと焼く事で表面のみに味を付け、

パリッと焼き上げている。

正に、「飴」焼き。

タレは苦味に加えて旨味が強いので女将さんに伺ったところ、

継ぎ足しのタレに鮎の肝を混ぜているとの事であった。

鮎の肝の風味がタレによって浮き彫りにされており、

鮎の魅力の一つである肝をダイレクトに感じさせる非常に秀逸な料理だと感じた。

(参考情報:泉屋)

 

鰻の焼きもの

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頭から尻尾まで付いており、嬉しい。

皮はカリカリ、身は軽やかに焼き上げた鰻。

適度にむちむちとした食感と、しっとりホロッとした食感を共に楽しめる。

タレは甘みがあるが嫌みになっておらず、こちらの焼き方に合っている。

聞けば鮎の飴焼き用のタレとの事で納得。

玉島川の鰻は初めてだが、強い旨味と上品な味わい、香りを持った鰻であった。

骨が全く当たらない点も素晴らしい。

 

ツガニ

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鋏脚が毛むくじゃらなのが特徴。

独特の香りと強い甘みを持っており、上海蟹と同様に内子に圧倒的な旨味がある。

外子も凄い!と感じたが、何よりも内子のコクに感銘を覚えた。

確かにファンが多い気持ちが分かります。

 

ツガニご飯

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ツガニの風味がバッチリで、味付けも良い。

上品な味付けに仕上げており、ツガニが活き活きしている。

 

ツガニの味噌汁

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こちらも凄い旨味!

ツガニの自然な甘みを活かす味噌の塩梅で、ご飯を共に無心で頂いてしまった。

 

香の物

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全て自家製で、ズイキの柴漬けが珍しい。

 

水もの

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メロンが特に濃厚な味わいだった。

 

こちらのコースは5,700円、7,300円、8,800円、11,000円と幅広く、

コースの大きな違いはツガニのサイズや量との事です。

僕は8,800円のコースを予約して伺ったのですが、

前日までの川の状況からツガニは小さいとの事だったので、

代わりに他の食材で調整頂き、オプションの鰻も頂きました。

その上でのお会計は11,524円(サービス料10%含む)。

内容を考慮すると満足度は極めて高く、

都市部では決して味わえない魅力がありました。

川の畔の雰囲気も良く、非日常の対価としてはリーズナブルだと言えるでしょう。

ちなみに、5,700円のコースでも非常に高い満足度のようです。

 

唐津焼

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店名:飴源(あめげん)

食べるべき逸品:玉島川の幸を駆使した川魚料理。

予算の目安:5,700円、7,300円、8,800円、11,000円のコース〜

最寄駅:なし、車がベター

TEL:0955-56-6926 ※完全予約制です

住所:佐賀県唐津市浜玉町五反田1058-2

営業時間:11:00~21:00

定休日:第1、第3、第5火曜

 

ご参考になりましたら幸いです!

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