すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ No. 198 鮨さかい@中洲川端(福岡県)

昨年訪問して深い感動を覚えたさかいさん。

その後、お店を移転されたと聞き、楽しみに再訪しました。

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お店は前よりも広くなり、キリッと爽やかな空気が漂い、心地良いです。

天井高もあるため、かつての「洞窟感」は無くなり、開放感がアップしました。

 

再訪した感想としては、改めて「西の雄」と言う印象を強めました。

シャリが美味しく、仕事と握りの精度も抜群に高い上、

ストーリー性(構成力)、温度帯のコントロールなども秀逸。

個人的に、赤酢を用いた握りだと西日本一だと感じます(全国でもトップクラス)。

赤酢主体でありながら酸味は比較的穏やかで、塩気やや高め、

硬め、少しだけ温かめなシャリは、一口一口に喜びがあります。

 

頂いた日本酒

而今・特別純米火入れ、東洋美人・ippo山田錦、綿屋・純吟阿波山田錦、

握りに合わせて田酒・特別純米、日高見・弥彦。

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蛸の柔らか煮

五島産。包丁を入れられた瞬間を見て、柔らかさが伝わってきた。

実際に頂いてみるとトロトロな皮が兎に角旨い。

そして、香りも良い。

山葵は鼻に抜ける辛さで、爽やか。

御殿場産を使用しているとの事。

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九絵とヨコワ

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4キロ、西日本の夏を代表する白身魚・キジハタ(アコウ)に比べると、

力強い食感と力強い香りが魅力。

やや血を感じさせる雄々しさがあり、旨味は強く、余韻にも妙あり。

ヨコワ(クロマグロの子ども)は8キロのものを藁で炙って。

皮下脂肪が凄いため、藁の火入れが奏功している。

当初、燻蒸香が強めかと思ったが、噛み締めると魚味と協奏し良い塩梅。

尚、煎り酒は軽い甘みと梅のとろみが特徴的であった。

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増毛のボタン海老、唐津の赤海胆

実に嬉しい共演、土佐酢のジュレで。

土佐酢に加えて、酢橘の皮が爽やかな香り。

ボタン海老のとろろんとした媚態的な甘みに、海胆の濃厚な甘みがかぶさる。

土佐酢は出汁が強めで、酸味は控え目。

強い甘みが抑制されており、気の利いた味付け。

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噴火湾の毛蟹

提供温度が素晴らしい。

毛蟹の温度とシャリの温度がピタリと合っている。

よって、蟹の旨味と香りを感じられる上に、

シャリの酸味と甘み(米由来の)が混ざり、味覚のバランスが取れている。

尚、親方は「毛蟹と私の酢飯を混ぜた蟹鮨です」と料理の紹介をされたが、

「酢飯」ではなく「私の酢飯」と仰った点が琴線に触れた。

酢飯は鮨の魂なので。

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鮟肝

余市産。鰹出汁で炊いており、きめ細かくねっちりした食感。

抜群に旨く、軽い血の香りもある点が面白い。

鰹出汁は強めで、甘みも利かせており、円みを帯びた炊き地である。

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切り付けた瞬間に充満する、この香りもご馳走。

唐津産との事だが、香りに加えてゼラチン質が半端ない。

柔らか過ぎず、むっちりした食感も良い

食べている時もグイグイと香りが押し寄せ、この鮑にはビックリ。

前回伺った際、海の鰻に驚嘆を覚えたが、今回覚えた驚嘆に値する素材はこの鮑。

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鮑の肝

炊き込んでいないので、ぷりぷりしておらずトロトロで塩辛的な肝。

ダイレクトに磯と鮑の香りを楽しめるが、臭みは無いのが良い。

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郡上産。香り良く、焼きも鮨店としては中々。

季節を代表する鮎を出す心意気は素晴らしく、鮎好きとして大変嬉しかった。

ただ、振り塩はもう少し抑えても良いかと。

蓼ではなく木の芽と合わせるセンスは素晴らしい。

個人的には、ド定番の蓼酢は鮎の魚味を引き立てるとは思えないので。

この後、握りに移行します。

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ガリ

カリッとした食感で、甘みと旨味が強い。

辛味は優しく、ふんわりと漂う。

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アオリイカ

3日寝かせた呼子のアオリイカ。

厚めの切り付けで、細かい隠し包丁も入れない。

一口目からトロリとさせず、噛み締める程にトロトロ感が高まる。

めっさ甘い。

寝かせて引き立てた甘みを、包丁によって活かし切っている。

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志賀島産。朝に〆たものだが、強いシャリに負けない旨味。

そして、僕好みのしっかりした食感、そして強い香り。

余韻も十分で、旬を外しているにも関わらず、玄界灘の凄さを証明する一貫。

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金目鯛

銚子産。炙る事が主流だが、敢えての炙り無し。

ぷりぷりなのにとろけてゆき、香りが高まる。

旨味もどんどんどんどん高まり驚き。

塩で〆、皮は軽く湯霜にする仕事が金目鯛に新たなる魅力を与えている。

これも圧巻の仕事。

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新子

「福岡で、しかも高い相場なのに出されるんですね!」とお伝えしたところ、

「弟子がいるので…」とはにかんで答えられる姿は、格好良い。

新子を美味しい魚として称賛する自称美食家の方が散見されるが、

新子は旨味ではなく香りを楽しむもの。

そして実際に楽しめた。

また、最大の面白みは、夏に鮨店を巡る事で小鰭の成長を追う事にある。

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小鰭

キッチリ小鰭も出される点は尚更格好良い。

鮨好き冥利に尽きる流れ!

強めに締めて2日寝かせており、ひたすら旨味が凝縮されている。

媚びの無い〆加減で、シャリとの相性が良い。

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鮪赤身

境港産。漬け。

巻き網船団が鮪を蹂躙している境港のものだが、

これは身焼けとは程遠く、鮪の旨味と酸味、

シャリの一体感が非常に高い。

シャリの味付けもあるが、それ以上に鮪の扱いが巧い。

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鮪中トロ

こちらは大船渡産で、66キロの定置網。

トロの甘みとシャリの酸味が一致した満足度の高い一貫。

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出水産。提供温度は低く、鮪の後なので敢えて冷たくしているそう。

成程…脂と風味が強い鮪の後に、爽やかさを感じさせる。

しかも、信じられないくらいの旨味で、冷えているのに舌を喜ばせる。

さらに、香りが残響のように残る。

徹底的に甘いが、鯵を食べた喜びを残す。

今までに頂いた出水の鯵の中でも、とりわけ印象深いモノであった。

そして、圧巻のストーリー性。

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車海老

五島産。

身が厚く香り豊かで甘みが横溢する。

ひたすら旨い。

茹で上げで温度の馴染ませ方も良い。

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対馬産。酢で軽く〆て、炙る仕事。

〆るだけでは味わえない、鰯特有の香りが引き立てられている。

即ち、干物的な香ばしさ。

更に軽い苦味と、それを凌駕する旨味が到達し、シャリの酸味が支える。

気付いたらとろけて消える。

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水茄子の浅漬け

岸和田の水茄子。

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九十九里産。

しっとりながらにシャクッとした食感も残す火入れと漬け込み。

そして、濃厚な煮ツメ。

東京でも少ないレヴェルの煮蛤の仕事。

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キタムラサキウニ

はだての海胆。これも温度帯をコントロールされており、抜かり無し。

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ボタン海老の頭、九絵、金目鯛の頭を用いた椀。

味噌は控え目で潮汁の魅力を楽しませてくれる。

中でも九絵の香り強いと旨味が鮮烈。

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穴子

とろとろフワフワな穴子。

そして、濃厚な煮ツメ。

確信したが、とろとろフワフワな仕上げの穴子が活きるのは、

あくまでもクラシカルな濃厚な煮ツメを用いるからではないか。

昨今とろとろフワフワな穴子に、サッパリな煮ツメを用いる事が一般化しているが、

旨味と風味よりも甘みが先行し、

穴子の野趣を殺すとともに、味覚的なもたつきを覚える次第。

矢張り、煮ツメは濃厚でなければよろしくない。

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べったら漬け

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干瓢巻、玉子

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硬く戻し、醤油の味わいは強めで、もちろん山葵を使用。

最後まで高い満足感を覚えた。

 

今回はやや多めにお酒を飲んで、トータル24,000円ほど。

同じ価格帯の鮨店、日本料理店、ひいてはフランス料理店などと比較しても、

決して高くは無い、非常に満足度の高いコースだと思います。

次回訪問するのが楽しみになる名店。

 

店名:鮨さかい

シャリの特徴:赤酢を用い、塩気を利かせつつ、酸味は穏やか。硬さ、温度も抜群。

予算の目安:20,000円〜25,000円

最寄駅:中洲川端駅から650m、天神駅から800m

TEL:092-726-6289

住所:福岡県福岡市中央区西中洲3-20 LANEラウンドビル2F

営業時間:18:00~、20:30~ ※2回転制となります

定休日:日曜、祝日

※完全予約制となり、予約電話は3ヶ月前まで、営業日の午前11時~午後4時の受付。

 

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