読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

寿司、鮨、鮓…スシに魅せられた男のブログ。鮨が大好きだ!と確信して以来、全国に及ぶ食べ歩きを行っております。江戸前鮨ではシャリの美味しさと仕事との調和を重視。鮨と密接な関係にある日本料理や郷土料理の名店も紹介。実は若輩者ですが向学心と感謝の念を忘れずに続けていきたいと思います。

すしログ日本料理編 No. 30 かぶと@池袋

池袋の料理店の中でも突出した人気を誇る鰻の専門店。

毒舌で名を馳せたご主人は引退された後でしたが、

この度、ありがたきお誘いを頂き訪問する事が出来ました。

 

訪問した感想としては、噂に違わぬ圧感の個性を持ったお店だと感じました。

目の前で無数の鰻を捌く光景を見ながらレアな日本酒をぐびぐび飲んで、

鰻の食べ比べを出来るお店は他にありません。

鰻串の専門店はあっても、

独特の提供スタイルや鰻のクオリティなど目を瞠るものがあります。

また、関西風の地焼きと言うところも面白い(捌き方は背開きで江戸風)。

こちらの最大の魅力はワイルドに鰻を頂き、お腹いっぱいになれるところでしょう。

 

ただ、同じ日の同じタイミングに訪問しても全く異なる評価となる点は、

お店としては必然的なリスクを孕んでいるように感じます。

ご存知の通り鰻の漁獲量は限られており、

天然物となると、量と価格が全く異なってきます。

多くの方の想像よりも遥かに数が限られているのが天然物の鰻。

よって、常連度によって天然物が出てくるかどうかが変わり、

そして、天然物を頂かなければ、こちらのお店の真骨頂が感じ取れないのは、

強みでもあり弱みでもあるのではないでしょうか。

串焼き、白焼きに関しては、天然物と養殖物の間には雲泥の差が存在し、

天然物の味にこそこちらの魅力がありました。

 

そして、注意しなければならないのが、

鰻は天然物であっても絶対に美味しいわけではない点。
鰻は産地と餌、即ち住んでいた環境によって味が大きく異なり、

個体差が激しい生物となります。

「産地」もさる事ながら、一匹一匹でここまで味が違う魚は非常に珍しい。

そこに鰻の面白さ、お店ごとの面白さがあるので、

天然物を売りとするお店では食べ手こそが気を付けた方が良いように思います。

「産地」のみで鰻の良し悪しを判断する方が多い事実には衝撃を覚える次第です。

 

そのような実情を踏まえると、ある意味一般的な鰻店では、

個体差が小さく、安定した味わいの養殖物の鰻だからこそ

コンスタントに美味しい鰻重を提供出来るとも言えます。

鮨と同じで、鰻に対して必要なのは仕事。

 

そして、鰻を食す事とは、お店への思い以上に、

鰻への思い、敬意が必要なのかなと再認識しました。

f:id:edomae-sushi:20160604171210j:plain

訪問当日、一本だけ入った天然物を頂く機会を作って頂いた幹事さんに心より感謝致します。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171151j:plain

お通し

 

f:id:edomae-sushi:20160604171211j:plain

お酒(むすひ)

 

f:id:edomae-sushi:20160604171152j:plain

f:id:edomae-sushi:20160604171153j:plain

えり焼き(関東風)

えり焼き(関西風)

首の周りの肉を集めて焼いたもの。

関東風は蒸されているので、じゅわっとした脂を楽しめる。

関西風はねっとりとした脂に加えて、香りをより強く感じられる。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171154j:plain

冷奴

塩は対馬の藻塩。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171155j:plain

心臓(養殖物)

苦味が強いので飲みこむものだろうが、敢えて噛んでみた。

確かに痛烈な苦みがあるが、心臓にも鰻固有の香りがあり、面白い。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171156j:plain

おしんこ糠漬

赤い野菜は紅時雨大根。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171157j:plain

f:id:edomae-sushi:20160604171158j:plain

ひれ焼き(鹿児島県産養殖物)

ひれ焼(静岡県産天然物)

ひれは程良い脂を楽しめ、天然物は香りに勢いがある。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171159j:plain

f:id:edomae-sushi:20160604171200j:plain

肝焼き(養殖物)

肝焼き(天然物)

肝は苦味よりも先に旨味が到達し、秀逸な味わい。

表面とは裏腹に柔らか。

天然物は養殖物とは全く異なり、香りと泥のフレイバーが強い。

お店ではこのフレイバーこそを強く推されているが、

これはハッキリ言って各人の好みによるかと思う。

フレイバーの強弱が鰻の魅力を左右するわけではないので。

江戸では、このフレイバーを押さえるために蒸しの技術が開発された由。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171201j:plain

一口蒲焼き(天然物)

内臓の串焼きに舌鼓を打った後だが、やはり身の方が旨い。

やはり鰻は脂が旨い。

ぷりぷりの身を噛みしめると、芳醇な香りに包まれる。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171202j:plain

大カマ(養殖物)

意外にもさっぱり。

一連の天然物を食べた後ゆえだろう。

ここに、お店の「弱み」を見る。

天然物と養殖物を織り交ぜると、否応無しに天然物が養殖物を凌駕するため、

養殖物が出た際の印象が薄くなる。

養殖物でも美味しいのだが、天然物の質が高ければ高いほど相対的に質が下がり、

結果として満足度にも影響を及ぼすと言うジレンマ。

(脂が大量に含まれる身の白焼き、蒲焼きについてはその限りでない)

 

f:id:edomae-sushi:20160604171203j:plain

きもわさ

フレッシュな肝を洗いにした刺身。

これは秀逸。

強い甘みを感じた後に肝特有の苦みがキリッと締める。

惜しむらくは山葵が低品質な粉山葵である点。

流石に、本山葵を使用して頂きたい。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171204j:plain

レバー焼き

 

f:id:edomae-sushi:20160604171205j:plain

f:id:edomae-sushi:20160604171206j:plain

白焼き(養殖物)

白焼き(天然物)

f:id:edomae-sushi:20160604171208j:plain

蒲焼き(養殖物)

蒲焼き(天然物)

養殖であっても脂はねっとりと濃厚で、香りもしっかりある。

反面、天然物は徹底的に脂が濃厚で、繊維質は極めてマッチョ。

このあたりは本当に好みで評価が変わってくるだろう。

f:id:edomae-sushi:20160604171209j:plain

個人的には両方異なる魅力があるため、心底満足した次第。

 

f:id:edomae-sushi:20160604171207j:plain

肝吸い

肝の火入れはしっかり目。

出汁はきっちりと取っている。

 

 

店名:かぶと

食べるべき逸品:希少な天然鰻を駆使したお任せコース。

予算の目安:15,000円~ ※天然鰻の価格次第となります

最寄駅:池袋駅から460m

TEL:03-3983-8608

住所:東京都豊島区池袋2-53-2

営業時間:17:00~22:00

定休日:木曜、日曜、祝日

 

ご参考になりましたら幸いです!

にほんブログ村 グルメブログへ