すしログ 〜The Encyclopedia of Sushi〜

すべての鮨好きに送るブログ!日本料理、郷土料理、和菓子の名店も紹介します。

すしログ日本料理編 No. 169 草如庵@東御市(長野県)

草如庵

長野県・東御市(とうみし)と言えば、最近はワイン造りが脚光を浴びております。

古参の玉村豊男さんのヴィラデストを始め、

現在は10ものワイナリーが存在しております。

そして、そのクオリティもどんどん上がっているように感じます。

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こちらのお店は東御市を流れる千曲川の近くにあり、

立地からは想像出来ない程に洗練された建築、空間です。

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建物は150年前に飛騨高山で養蚕農家の為に建てられたもの。

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重厚で趣深い建物に映える神棚は宮大工の手により、圧倒的な荘厳さを誇ります。

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ご主人・山田勉さんは京都の名店・美山荘で修業され、

ザ・ウィンザーホテル洞爺のお店で料理長を務められた経歴をお持ちです。

空間のみならず器にも類まれなセンスが発揮されており、

漆器は籃胎漆器(らんたいしっき)、

器は田端志音さんのものを多く使われております。

籃胎漆器は竹かごを編む技術と塗り物の技術が融合した器。

明治初期に久留米藩で生み出されたそうです。

空間、器の両面で心が癒されました。

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そして、提供される料理も個性的で、全体的に力強い印象を抱きました。

実は今回の春の前、秋にもキノコ目的で訪問しており、

当記事の後に投稿する予定ですが、

春と秋で全く異なる印象を与えてくれました。

どちらも魅力的ではありますが、個人的には秋のキノコの方が、

こちらの強い出汁と塩味と協奏する妙味があるように感じました。

そして、秋の方が食材的に郷土性が高く、個人的に魅力が大きかった次第。

これは個々人の好みもあるかと思いますので、

県外から訪問される方は時期を見計らうと良いかと思います。

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なお、こちらは食べログではスコアが3.47程ですが、

大変な人気を誇っており、しかも昼夜2組限定となっております。

よって、余裕を持っての予約が必須です。

予約電話は訪問の3ヶ月前の月初から可能。

お店はご夫婦のみで切り盛りされているので、

営業時間外にお電話する方が失礼に当たらないかと思います。

 

頂いたお料理
・先付:キャベツの寄せ
・お造り:鯛、金目鯛
・椀もの:鮎並、若芽真薯
・八寸
・焼きもの:トキシラズの木ノ芽焼き
・炊き合わせ:揚げた長芋、鮑、ほうれん草、人参
・お食事:ぐじ、芹の炊き込みご飯
・水菓子、お薄

 

草如庵さんの料理〜春

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ぶどうジュース

こちらは信州産の果物ジュースが爽やかで美味しい。

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先付

キャベツの寄せ。

葛で固めており、キャベツの香りと甘みがじんわりと広がる。

ペースト部分にはほろ苦さがあり、キャベツ自体の味わいのコントラストが魅力。

生姜パウダーをまぶし、海老は甘みを付けて炊いている。

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お造り

鯛、金目鯛、昆布醤油を添えて。

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鯛は昆布〆にせず、寝かせている模様。

ねっちり感にぷりぷり感があり、単体だと少し弱いものの、

昆布醤油を巻いて頂くと輪郭が引き立つ。

金目鯛も旨味の相乗効果があり、然り。

昆布ペーストに醤油と味醂を混ぜたものだろうか。

大変秀逸な付け合わせ調味料である。

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鮎並、若芽真薯、うるい、酢橘皮、梅肉餡。

吸い地は鰹が非常に力強い!

若芽真薯は大変香り良い。

そこに、うるいがホロ苦さを添える。

わらびの描かれた漆器が季節に合い、和ませる。

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八寸

ナズナと岩茸、野人参と筍、焼きウドと帆立の酢味噌和え、

蕗とトコブシ、葉山葵のお浸し。

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山谷の恵に嫌味にならない範囲で海の幸を加えており、魅力的な八寸。

野人参と筍は、人参の香りと筍のホロ苦さの組み合わせが大変良い。

酢味噌は濃密で、香り良い。

蕗とトコブシは磯の香りと山の香りの調和が素晴らしく、

少し梅肉を用いて引き締めている。

葉山葵のお浸しはピリッとして良い香り。

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焼きもの

トキシラズの木ノ芽焼き、焼き玉葱の裏漉し、黄金柑。

長野で鱒ではなく鮭であったのは少々残念であったが、味付けと焼き加減はバッチリ。

木ノ芽も花山椒も実に柔らかい。

焼き玉葱の裏漉しは甘い!

他の野菜はスナップえんどう、蕪、ブロッコリーでどれも甘い。

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炊き合わせ

揚げた長芋、鮑、ほうれん草、人参。

主役は鮑のようであるが、長芋が鮑を超える(笑)

出汁を含ませて揚げており、力強い。

そして、野菜の美味しさは特筆すべきところ。

人参は味が濃く、ほうれん草も苦みに勢いがある。

これも力強い出汁と塩加減であった。

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お食事:ぐじ・芹の炊き込みご飯、香の物

配膳前に薄切りの唐墨をまぶし、混ぜて頂く。

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ぐじの香りに唐墨の風味が合わさり、力強い。

問答無用で美味しい食材の掛け算である。

その中で、芹が良い仕事!

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おかわりが止まらない。

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水菓子

蓬のマカロン、小豆アイス、浮島。

しっとりした浮島と、小さいのに甘みが強いイチゴが印象的。

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そして、蓬のマカロンは蓬が強く良い香り。

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お薄

 

上記のお料理で8,000円とはコストパフォーマンスが高いのではないでしょうか。

所謂「ピンの食材」ばかりではなくとも、

調理で食材の魅力を高めているお店かと思います。

 

店名:草如庵(そうじょあん)

予算の目安:コース8,000円

最寄駅:滋野駅から1,200m

TEL:0268-67-3910

住所:長野県東御市布下165

営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00

定休日:火曜

※前日までの完全予約制。昼夜それぞれ2組限定。